1年の計は元旦にあり。
今年こそウォーキングを習慣にしようと決意して意気込んでいる、あるいは家族の前で大々的に発表して引っ込みがつかなくなり若干後悔しているという人もいるかもしれません。
ダイエットのため、体力維持のため、老化予防のためなど、歩く理由は人それぞれ。
ですが「とりあえず1日1万歩を目標に」、が合言葉になっていませんか。
じつはウォーキングはただ歩いているだけではいくらやっても十分な運動にはなりません。
使わない筋肉はどんどん減っていく

筋肉を構成している筋繊維には大きく分けてパワーを発揮する短距離型と、スタミナを発揮する長距離型の2種類があります。
これらの筋繊維は私たちの身体の動かし方によって使い分けられていて、日常生活の中での動きではもっぱら長距離型が使われています。
走ったり、重たいものを持ち上げたりするときには短距離型が順次加わっていき、大きな筋力を発揮できるのです。
長距離型の筋繊維に比べて短距離型の筋繊維は年齢と共に衰えやすいのは、長距離型は日常生活の動作の中でも使われているのに対し、短距離型は負荷が大きな運動をしなければ使われなくなってしまうからということになります。
ここで実際にウォーキングの運動の強さを考えてみましょう。
運動の強さを比較するときには、運動強度「メッツ」で考えるのが一般的です。
メッツとは、安静にしている(座ってテレビを見ている)状態を1メッツとして、エネルギー消費量がその何倍になるかを表した指標です。
これによると、ゆっくり歩くのは2メッツ、普通に歩くのは3メッツとなっています(厚労省『健康づくりのための運動指針 2006』より。
運動強度の例
2メッツ ゆっくり歩く
3メッツ 普通に歩く・ボーリング
4メッツ 早歩き・水中で歩く・卓球
5メッツ かなりの早歩き・野球
6メッツ ジョギングと歩行の組み合わせ
8メッツ 階段を上がる
その人の体力度や筋肉量によって若干異なりますが、一般的には3メッツ以下が“低強度”、4メッツ~5メッツが“中強度”、6メッツ以上が“高強度”に分類されます。
中強度以上でつらさを感じる=短距離型が使われるため、3メッツ程度で普通に歩いただけでは運動強度が足りず、短距離型の減少を食い止めることができないということになってしまいます。
プラス1メッツすれば1万歩も要らない
いくら1万歩歩いたとしても、筋肉の負荷にならないような歩き方をしていては狙った効果は出にくいかもしれません。
短距離型の筋繊維にあまり刺激が伝わらないのでカロリー消費という面においても、最大筋力の維持という面においてもメリットが少ないのです。
おなじウォーキングをするのなら、少しだけ運動強度を上げて短距離型を使うことを意識しながら歩くといいでしょう。
また、階段を上がる動作は運動強度が非常に高いので、積極的に階段を上るルートを選択するようにしましょう。
運動強度を高めるポイント
・下を向かない
・かかとを突く位置を10 cm前に
・腕をしっかり振る
・少し早めに力強く歩く
うれしいことに、ウォーキングの強度と病気のリスクを調べた東京都健康長寿医療センター研究所運動科学研究室長の青柳幸利さんの研究によれば、中強度のウォーキングを取り入れれば1日1万歩を目標にする必要はなく、「1日8000歩で、その中の20分を中強度のウォーキング」にすれば十分いい影響があるという結果が出ています。
1日1万歩といえば、普通に歩くと1時間30分~2時間はかかるので、仕事をしながら達成するのは難しいと感じる人は少なくありません。
時間的なハードルの高さが継続することの大きな障害にもなっていました。
しかし、1日8000歩でそのうち20分は早歩きとなれば時間的なハードルはぐっと低くなります。
自宅から最寄り駅までは早歩きで通勤し、あとはちょっと意識的に歩くようにすれば達成できるはず。
今年こそ3日坊主にならずに、目標達成の年にしましょう。