登山はペース配分をすることで老若男女だれでも楽しめますが、本格的な山行になればなるほどケガや低体温症など、いろいろとリスクも出てきます。
腰痛もその一つ。
重たい荷物を背負ったり、長い距離を歩いたりすると、腰が痛くなってしまうのはある意味仕方がないことなのかもしれません。
でも、せっかくの天気なのに、腰が痛いからといってテントを持っていけなかったり、短い距離で諦めざるを得なかったりというのはあまりにもったいないことです。
山の中で腰痛が発症し、足元に集中できなくなるのは大変危険なことです。
そういうときに、なるべく素早く腰痛を鎮めるセルフケアを覚えておくと役に立ちます。
登山中の腰痛の多くは太ももやおしりに原因があります。
そのため、おしりをストレッチすることで、素早く腰の体力ゲージを回復させることができるのです。
どこに痛くなる原因があるかちょっと考えて見ましょう
正確なアンケート結果があるわけではありませんが、登山をしている人の体の悩みの中で、トップを争っているのが、【腰痛】と【膝痛】ではないでしょうか。
体が痛くなってしまうことには、必ずなにか原因があるはずです。
たとえば膝の痛みは、O脚やX脚で体重がいびつにかかってしまっていたり、膝を固定している周りの筋肉が衰えてしまったりといったことが原因として挙げられています。
これを予防する対策として、膝サポーターが非常に役に立ちます。
筋肉の衰えは必ずやってきますので、まだ使っていないという人は、痛くないうちから使ってみることをオススメします。
それでは腰痛はどこに原因があるのでしょうか。
一つは荷物の重さです。
日常生活で使うよりもずっと重たい荷物を背負うので、その分の負担が腰に余計にかかってしまいます。
荷物に引っ張られて腰が反ってしまったり、反対に猫背になったりすると、腰痛のリスクが増すことは誰でも想像がつくはずです。
このときに硬くなりやすいのが、後背筋という背中の筋肉です。
背骨と骨盤のつなぎ目辺りから、脇の下にかけて左右に一対伸びています。
この後背筋が腰痛の主要な要因の一つになっていることが多いようです。
しかし、腰痛の原因はこれだけではありません。
後背筋はどちらかといえば腰の上方にある筋肉ですが、腰の下方にあるおしりの筋肉も腰痛を引き起こす主要な要因の一つです。
歩きつかれたときに、おしりの筋肉に触ってみてください。
びっくりするぐらい硬くなってしまっているはずです。
おしりの筋肉は足を引き上げるサポートをしたり、体重の衝撃を吸収したりと登山中はとても活躍しています。
腰のすぐ下にあるおしりの筋肉が硬直してしまうと、腰にかかるストレスが高まり、痛みが発生しやすくなります。
筋肉が疲れて硬直してしまう前に、後背筋やおしりの筋肉を重点的にストレッチすることで、腰痛を防ぐことができるのです。
休憩で腰を下ろしたら、必ずストレッチをしておこう
登山中の腰痛を予防するためには、登山前、登山中、登山後のそれぞれでストレッチをすることが大切です。
重点的にストレッチをするべきなのは、おしりと背中。
柔軟性が増すことで痛みが出にくくなるだけではなく、足が上がりやすくなって岩場の通過が楽になったり、疲れにくくなったりとメリットは数多く挙げられます。
おしりのストレッチ
○自分の膝~腰ぐらいの高さの段差(車止めやベンチなどが最適)に片足をかけて、胸を膝に近づけましょう。
膝を曲げないようにすることがポイントです。
○膝が直角に曲がる程度の高さの椅子や段差に腰掛けて、片足をあぐらのようにくみましょう。
太ももの上にくるぶしが来るようにすると、わかりやすいです。
足を組んだまま、上半身を前にゆっくり倒していきましょう。
背筋を伸ばして行うことがポイントです。
背中のストレッチ
○立ち上がって、思いっきり前屈をしましょう。
手が地面に届くのなら手をつけて、手が届かなくても膝を抱え込んで背中を伸ばします。
膝を曲げないようにすることがポイントです。
○木や壁の横に立ち、側屈をして両手を木や壁につきましょう。
体を弓なりにすることを意識して、側面を伸ばしましょう。
入念に行うタイミングは痛くなりそうなときと下山の後
準備運動でストレッチをやりすぎると、パフォーマンスが落ちるともいわれているので、登山前の準備運動は必要ですが、ストレッチをそこまで重点的に行う必要はないかもしれません。
ストレッチを行うタイミングとして欠かせないのが、腰痛が起きそうだと感じたときと、山を降りた後です。
筋肉が固まってしまう前に入念にストレッチを行って、腰痛を防ぎましょう。
自分の限界まで伸ばしていくことで、どんどん柔軟性はまし、スタミナもつきやすくなってくるはずです。
たとえば足をかけておしりを伸ばすストレッチは、膝ぐらいの高さからはじめて、自分が伸ばせる足しの高さをどんどん上げていきましょう。
最終的には立ったまま壁に向かって開脚できるようになるのが理想です。
このように、自分の可動域に対して目標を持ってストレッチを行うと、続きやすく、効果が出やすいのではないでしょうか。