少し歩いただけでも汗ばむ季節になってきました。
汗は私たちが体温調節をするための大切な仕組みだということはわかっているつもりでも、やっぱり臭くてベタベタとして不快で、どこかやっかいものな感じが抜けません。
なぜ、人間は汗をかくのでしょうか。
実は人間のように汗をかく動物は案外少なく、哺乳動物に限られます。
しかもその哺乳動物の中でも、体温調節のために全身に汗をかくことができるのは人間の他には馬ぐらいなものです。
汗は人間が生き残るために独自に進化させてきたものなのです。
ですから、今回は汗のことを少し見直して、もっと汗をかきたくなるようなお話をしてみたいと思います。
汗が出にくい人の汗は臭い!
スポーツマンのかく汗はなんだか爽やかな印象があります。
これはただ単に似合っているというだけではなく、本当に汗の質が良いということも関係しています。
汗を分泌する汗腺は全身に200万~500万個もあると言われていますが、通常働いているのはその半分程度です。
働き者の汗腺の数は乳幼児の間に過ごした気候によって決まると言われていて、一般的に暑い国の人ほど働く汗腺の数は多くなっています。
大人になってからこの数が増えることはありませんが、減ることはあります。
1年中エアコンをつけて生活したり、運動をほとんどしなかったりして汗をかく習慣がなくなると、なまけて休眠状態になってしまう汗腺がどんどん増えていき、汗をかきにくくなります。
さらに、まだ働いている汗腺でも汗を作る機能が低下して、ミネラル分が濃いドロドロ、ベタベタした汗になってしまいます。
ミネラル分が濃い汗は皮膚の表面で雑菌を繁殖させてしまうため、健康な汗よりも臭います。
また、一度に大量のミネラルを失ってしまうので、めまいや心疾患の危険も高まります。
汗腺はたくさん汗をかくようになればまた発汗機能を高めることができます。
これから訪れる夏を快適に乗り切るために、スポーツマンのような良い汗がかけるように練習しておきたいものです。
発汗トレーニングで気持ちのいい汗がかけるようになる
良い汗をかくためには、もともとある働き者の汗腺の目を覚まし、発汗機能を高めてあげる必要があります。
つまり、汗をかくトレーニングをするほどに良い汗がかけるようになるということです。
おすすめの発汗トレーニングを伝授しましょう。
○有酸素運動
汗をかくならやはり運動を始めるのが一番手っ取り早い方法です。
普段ほとんど運動をしない人は、少し歩幅を広げたり、歩くペースを上げたりするだけでも汗ばむようになるはずです。
ただし、これからの季節は昼間の炎天下での運動は避けましょう。
早朝や日没後の少し涼しくなった時間帯が適しています。
また、水分補給は真水ではなく、ミネラルが入ったスポーツドリンクを活用しましょう。
○入浴
暑い季節になると湯船にお湯をはらないという人もいるかもしれませんが、入浴は運動が苦手な人でも気軽に始められる絶好の発汗トレーニングになります。
半身浴にすると汗が吹き出す様子がよくわかっておすすめです。
入浴後はすぐにエアコンで身体を冷やすのではなく、しばらく汗をかくのに任せるようにするとより効果的な発汗トレーニングになります。
ただし、熱中症にはくれぐれもご注意ください。
滝のように汗をかいてもサラサラとして心地よさが出てくればしめたもの。
だいぶ汗の質が良くなったと考えていいでしょう。
良い汗は蒸発しやすく、余計なミネラルを体外に逃がさないので、夏バテの予防にもつながります。
5月ごろは湿度も低く、一番過ごしやすい気候ですね。発汗トレーニングを始めるにはもってこいです。