糖質制限ダイエットがはやっている今、“お米”というとちょっと手が出しにくい雰囲気があります。
炭水化物の塊のようなものなので、ヘルシーとはかけ離れた存在のように感じてしまいます。
でも日本食というものはことごとく“お米”をベースに設計されているので、やっぱりないとちょっと寂しい気も……。
正月料理もお餅、お雑煮、お赤飯と、お米料理が欠かせません。
なかでもお赤飯。
縁起のいい日には定番の料理ですが、それは今みたいに食べ物が世の中にあふれていなかった時代の話。
飽食の現代でも同じペースで食べていては、正月太りの要因の一つになりかねません。
「う~ん。赤飯のおめでたい雰囲気を変えることなく、もっとヘルシーなものに置き換えられないものか。」
そう考えたセラッピー編集部員は、とっておきの素材を見つけてきました!
それが『黒米』。
白米に比べてタンパク質・ビタミンE・鉄分・亜鉛・アントシアニンなどを豊富に含み、炊けば赤飯のように華やかな色になるヘルシーなお米なんです。
『黒米』は収穫量が少なく希少な古代米
『黒米』というのは、読んで字のとおり見た目が黒いお米で、日本人が今食べているお米のルーツ、古代米の1つです。
原産は中国で、鮮やかな色をしていて香りがよく、栄養も豊富に含まれていることから、縁起物のお米として重用されていました。
漢方薬や産婦の栄養食品としても食べられていたようで、現在でも薬膳料理として黒米を使った料理が伝わっています。
日本でも縁起の良いお米としてお供え物や祝い事に使われていました。
黒米の一番の特徴は、お米の粒が鮮やかな黒~紫色をしていることです。
黒米の中にもいくつかの種類があり、中にはお米の粒自体に色がついているものもありますが、多くは色がついているのは表皮だけで、完全に脱穀すると白米と同じような白色になります。
特に色がついている表皮が重要で、ここに黒米特有のアントシアニンが豊富に含まれています。
さらに白米に比べてタンパク質の割合が高く、ビタミンB2、ビタミンE、鉄分、亜鉛などのビタミンやミネラルが豊富に含まれているため、ヘルシーな食材としての価値は非常に高いといえそうです。
その一方で、黒米は白米に比べて栽培に手間がかかり、しかも収穫量が少ないため希少なお米となっています。
黒米のおいしい食べ方
黒米は白米との相性も抜群!特別な炊き方をする必要はなく、白米にちょっとプラスするだけでおいしくいただくことができます。
ただし色素が水に溶け出しやすいので、洗いすぎに注意。
色素と一緒に大事な栄養分まで失われてしまいます。
●黒米のおいしい炊き方
1 白米2合に対して、黒米大さじ1杯を用意する
2 一緒に洗うと黒米の成分が溶け出てしまうので、まずは白米だけをいつもどおり洗います
3 といだ白米の上から黒米を足して、ごく軽く洗います
4 30分から1時間水に浸します。白米のときと同じ水分量だと柔らかめに仕上がります。余裕があるのなら、一晩浸水させておき、翌朝タイマーで炊き上げるとふっくらとおいしく仕上がります。一方、浸水時間が短いと香ばしくしあがるようです
5 いつもどおり炊飯します。黒米の成分が溶け出して、赤飯のような華やかな見た目に仕上がります
●注意点
水洗いしすぎると黒米に含まれている貴重な成分が溶け出てしまうので、米とぎはパパッと短くすませましょう。
黒米を保存できる期間は、開封前ならおよそ1年間。開封後は冷暗所において、なるべく早く食べきりましょう。
ライスワインの原料にも
独特の深い紫色をしている黒米を原料に「ライスワイン」を作ろうという試みも続けられています。
1989年から研究が続けられていましたが、最近、東京農業大学によってついにライスワインを作ることに成功したそうです。
まだ大々的に販売されていないようですが、栄養満点の黒米を使ったワインというのは、ちょっと飲んでみたいものですね。
今後研究が進めば、売りに出されることがあるかもしれません。
名産は伊豆・修善寺
今回ご紹介した黒米。東京近郊の一大産地は伊豆市です。
観光名所としても有名な伊豆修善寺では、黒米料理を提供している飲食店が並び、薬膳や、お餅、さらにはソフトクリームなど、いろいろなところでヘルシーな黒米を味わうことができます。
さらに黒米はお土産としても人気があります。
今年は黒米ご飯でヘルシーな一年をスタートさせてみてはいかがですか?