「こちら塩昆布です、あと少し頑張って!」―――。
毎年神戸市で行われる神戸マラソンの30kmエイドステーション(補給地点)では、地元企業のフジッコが配布する塩昆布が名物となっています。
マラソン大会に塩昆布!?
少し異色の組み合わせのように感じますが、実は塩昆布にはスポーツに必要なミネラルが豊富に含まれて相性抜群なんだとか。
そう、昆布には不足しがちなミネラルが豊富に含まれた食品。
シニア世代でも吸収しやすく健康長寿にも役立ちます。
もっともっと積極的に食べて行きたいすごい食べ物なのです。
昆布の持つパワーと活用法についての報告です。
塩昆布でスポーツ中のミネラル補給はバッチリ
冬はマラソンの季節。
夏に比べて身体への負担が少なく気持ちよく走ることができる時期ではありますが、運動をすれば汗をかき、水分補給は欠かせません。
しかし、ミネラルウォーターだけを摂取しても十分とはいえません。
汗をかくことでナトリウムをはじめとするさまざまなミネラルが失われています。
そのような状態で水分だけを入れると、血中のナトリウム濃度が低下して結果的にさらに脱水が進んでしまうのです。
ミネラルウォーターには“ミネラル”という言葉が入っているために十分なミネラルが含まれていると思われがちですが、実際にはまったく足りていません。
そこで役立つのが塩昆布です。
日本昆布協会によると、昆布に含まれるミネラルは牛乳の23倍、カルシウムは7倍、鉄分は39倍。
このように昆布にはさまざまな種類のミネラルが豊富に含まれているので、スポーツ中のミネラル補給を昆布一種類でまかなえるのが魅力的です。
しかも、そのまま食べることができ、傷みにくいので持ち運びも便利。
ビニール袋につめて少しずつ食べることができるので、スポーツを楽しむ人にとてもおすすめできる食べ物なのです。
昆布ミネラルは吸収しやすくシニアにうれしい
ただ豊富に含まれているというだけではありません。
昆布のミネラルは吸収が良いとされていて、日本昆布協会によると、昆布のミネラルは約80%が体内に吸収されるんだとか。
スポーツ時だけではなく、普段から不足しがちなミネラル補給として、特にシニア世代におすすめです。
さらに昆布の成分のおよそ4分の1は食物繊維です。
海藻特有のねばねばとした水溶性食物繊維が多く含まれているため、糖質や脂質の吸収を抑えたり、便秘が解消されたりといったことが期待できます。
昆布は昔から「喜ぶ」に通じる縁起物として重宝されてきました。
これは単なる語呂合わせとしてだけではなく、栄養面から見てもとても身体に良い食べ物だったということですね。
実は減塩にも大活躍!
ミネラル豊富な昆布ですが、普段の料理から積極的に活用することで減塩に役立てることもできるんです。
その理由はうまみ成分の「グルタミン酸」。
うまみが強いと塩気が少なくてもおいしく感じられるため、料理の味を損なわずに減塩することができます。
また、グルタミン酸は胃腸の働きを良くし過食を防いでくれる作用もあるのだとか。
ミネラル、食物繊維、減塩。
昆布は今の私たちにこそピッタリな食材なのかもしれません。
ぜひ、普段の調理から下味を昆布だしでつけるなど、昆布を積極的に活用してみてくださいね。
だしをとるときのワンポイントアドバイス
昆布だしをとる水は硬水より軟水がベスト。
ナトリウムやカリウムのようなミネラルがよりたくさん染み出てきます。
そのため、ミネラルウォーターを料理に使うときにはなるべく軟水系のものを選びましょう。
また、昆布をつけ置きする時間は1時間程度にしておくのがおいしさとミネラルのバランスがもっとも良さそうです。