むくみの原因 夕方になるとどうして靴がきつくなるの?

夕方になるとぴったり合っていたはずの靴がきつくなる。靴下を脱ぐと跡がくっきり。

こんな経験ありませんか?

多くの女性が悩む足のむくみは、水分の循環が滞ってしまうことが主な原因だと考えられています。

立ち仕事や座り仕事の時間が長いと、男性でも注意が必要です。

どうして足に水がたまるのかを知り、効果的な予防を施しましょう。

足のむくみの原因は―水分が上半身に戻らない

足のむくみは、動脈中の血液によって運ばれてきた水分がなんらかの原因で戻らず、そのまま足にとどまってしまった状態です。

どうして水分が戻らなくなってしまうのでしょうか。

主な原因に、水分を体の中心部に押し戻す「排水管」の機能低下が挙げられます。

心臓を出発した血液は動脈を伝って体の隅々まで広がりながら、その成分の一部が血管の外に染み出しています。

血管から染み出た水分は周囲の細胞に酸素と栄養分を供給し、かわりに二酸化炭素や老廃物などを受け取っています。

あふれた水分がそのままだと細胞の周囲にたまる一方になってしまうので、水分を集めて体の中心部に戻すための2つの「排水管」が用意されています。

一つが「リンパ管」、もう一つが「静脈」です。

もし、これらの「排水管」の機能が弱まると、次第に足に水分がたまっていくことになります。

足がむくむのは、なんらかの原因で「排水管」の機能が弱まり、足にたまった水分を体の中心部へ押し戻す力が弱くなっているためなのです。

では、なぜ「排水管」の機能が弱まってしまうのでしょうか。

実は、足がむくむ原因は両足がむくむ場合と、片足だけがむくむ場合とで異なります。

〇両足がむくむ場合

両足が同じようにむくんでいる場合、生活習慣や運動習慣の悪化で血液やリンパの循環が悪くなっていることが考えられます。

リンパ管や静脈は、心臓のポンプ機能で勢いよく流れている動脈に比べると流れが弱く、周囲の筋肉からの刺激や圧力が流れを保つ上で重要な役割を果たしています。

そのため、筋肉の働きが弱まると、足から体の中心まで水分を送り出す「排水管」の機能まで低下してしまうのです。

足のむくみは筋力の弱い女性に多く見られる悩みですが、運動不足や加齢にともなう筋力の低下によって誰にでも起こりうる不調です。

両足のむくみの原因

〇長時間の立ちっぱなし、座りっぱなし

足の運動量が極端に少なくなると、水分の循環を悪化させむくみを引き起こします。

〇水分の飲みすぎ

水分が足にたまりむくみやすくなります。

〇塩分の摂りすぎ

塩分をとりすぎると、体内の塩分濃度を下げるため水分をため込みやすくなります。

また、両足のむくみがひどい場合には、全身性の病気の可能性があります。

例えば腎臓病がある場合、体内の余計な水分を尿として排せつする力が弱まるので、足がむくみやすくなります。

他にも、心臓病で毛細血管の血圧が高くなることでも足のむくみが引き起こされます。

こうした病気によるむくみでは、指で押すとへこんでくぼみができます。

〇片足だけがむくむ場合

片足だけにむくみが見られる場合、血管に異常がある可能性が考えられます。

血管がこぶのように浮き上がっている場合、下肢静脈瘤(かしじょうみゃくりゅう)が考えられます。

静脈には重力に逆らって血液を心臓まで引き上げないといけないため、逆流を防ぐための弁が備わっています。

ところが、立ちっぱなしで足を長く動かさなかったり、正座などで体重がかかり続けたりすると弁が壊れ、部分的に血がたまってしまうことがあります。

これがこぶのように現れたのが下肢静脈瘤です。

下肢静脈瘤ができると足がむくみやすくなる他、足が重たく感じたり吊りやすくなったりします。

下肢静脈瘤の他に、血栓ができて静脈がつまる静脈血栓症でも足のむくみが見られます。

静脈血栓症は、足にできた血栓が流されて心臓に戻ると「肺塞栓(エコノミークラス症候群)」を引き起こすこともある恐ろしい病気です。

静脈血栓症では、むくんだところの皮膚が赤くなる発赤や、圧痛を伴うことがあります。

むくみ予防はこまめに足を動かして

一般的な両足のむくみでも、下肢静脈瘤や静脈血栓症を伴うむくみでも、長時間の立ち仕事がリスクを高める重大な要因の一つです。

そのため、足をよく動かし、立ちっぱなしの状態を避けることが足のむくみの基本的な予防策として有効です。

休憩時間に少しの時間横になるだけでもむくみの予防に効果があります。

足の下にクッションを敷くなどして、心臓よりも一段高くすると足先にたまった水分が体の中心へと戻っていきます。

また、医療用の弾性ストッキングが足のむくみや静脈瘤の予防に効果があるとされています。

足の外側から適度な圧力をかけて血液の循環を促すもので、使用することで立ち仕事の不快感を軽減することができます。医師に処方できるか相談してみるといいでしょう。

また、立ち仕事だけではなく、デスクワークでも油断は禁物です。

座りながらでもいいので、つま先を上げたり、かかとを上げたりして足首の体操をしましょう。足首を活発に動かすことでふくらはぎも刺激されます。

むくみを引き起こす水分の過剰摂取や塩分の摂りすぎをさけ、就寝前に足やふくらはぎをよくもむといった対策も有効です。

両足のむくみがひどく、指で押してできたくぼみがすぐに元に戻らない場合は、腎臓や心臓の病気の可能性があるため医師に相談したほうがいいでしょう。

むくみの予防方法

〇足をよく動かす

〇長時間の立ち仕事を避ける

〇水分をとりすぎない

〇塩分をとりすぎない

〇正座を避け、足を投げ出して座る

〇就寝時は足を一段高くする