山の日という名称がどこまで浸透しているのかはわかりませんが、登山人気が続いているのは確かなようです。
今年の山の日、富士山に挑戦しようと計画している人も多いのでは?
富士山を安全に登りきるためには、熱中症と高山病への対策がぜひとも必要です。
富士山以外の高山においても全く同様の対策ですので、今回は3000mを超えるような高山登山をするに当たっての体調管理について考えてみましょう。
山の上は寒くて暑い
今年の夏は異常な猛暑が続いていますが、富士山の上はどうでしょうか。
ためしに多治見で40℃越えを記録した8月2日の富士山の気温を調べてみると、最高気温が10.0℃、最低気温が5.3℃となっていました。
これは東京の12月の気温とほとんど同じ水準ですから、富士の高嶺は大変涼しい環境のようですね。
従って、富士登山ではたとえ真夏の一番暑い時期であっても防寒装備がまず欠かせません。
フリースや薄手のダウンなど、上から羽織えるものを持っていきましょう。
とくにご来光は1日でもっとも気温が低い早朝の時間帯のことですから、ご来光待ちなどといって山頂でじっとしている間は確実に寒さを感じるはずです。
レインコートも風避けに役立ちますから、晴れの予報でも持って行くといいでしょう。
同時に暑さへの対策も大切です。
平地よりも気温が低いとはいえ、日光は強烈に降り注いでいますから、晴れた日の昼間はかなりの暑さを感じます。
登りで大量の汗をかいて、脱水の症状が出てしまうおそれもあります。
熱中症や脱水症状の予防は、小まめな水分補給が第一。
多くの汗をかくと塩分も失われてしまいますから、水分はもちろん、小まめに塩分も摂取するように心がけましょう。
スポーツドリンクでもいいですし、行動食に塩分が含まれるもの(チーズなど)を持っていってもいいですね。
富士山には多くの山小屋がありますから、休憩時に甘酒などを買うのもおすすめ。
ただし、ビールは下山まで我慢した方がいいです。
動く気力がなくなってしまう高山病の恐ろしさ
富士山を語る上で無視することができないのが高山病のリスクです。
高山病を発症すると気力が減退し登頂どころではなくなってしまうので、団体を引率するリーダーはメンバーに高山病が出たときのことを常に頭に入れておくべきでしょう。
高山病は酸素濃度の低下に伴って頭痛や吐き気、イライラや倦怠感などの症状が現れるもので、重症になると肺水腫といい、肺に水がたまってしまうことで命の危険にさらされることもあります。
体力の有無にはあまり関係なく、平地では運動習慣があるという人でも突然発症してしまうおそれがあるため油断できません。
その一方で、徐々に高度を上げて高所に体をならしていくことで、高山病のリスクはかなり抑えることができます。
幸い富士山の登山道には5合目にレストハウスや山小屋がありますから、バスを降りたらいきなり登り始めるのではなく、しばらく5合目でゆっくり過ごすといいでしょう。
合目ごとの山小屋も有効に活用して、徐々に標高を上げるようにすると高山病の予防に効果的です。
富士山には弾丸登山、もしくは登山競争といって短時間のうちに一気に標高を上げるものがありますが、高山病のリスクを考えると初めて富士山に登る人にはおすすめできません。
富士山の高度では高山病にならないことがわかっている人がやるものだと考えてください。
また、高山病は体調に左右されやすく、寝不足や二日酔いのまま標高を上げると発症しやすくなります。
富士山に登る前日には体調を整えるためにお酒を控え、早く寝るようにしたいものです。
高山病の対策として一番確実なのが標高を下げることです。
高山病が現れた人はそれ以上高度を上げずに休息し、すぐに改善しないようなら下山するのが懸命でしょう。
夏の富士山には救護所が設置されているとはいえ、移動の基本は徒歩。
すぐに救助が来ずに症状が悪化してしまうことも考えられます。
くれぐれも熱中症や高山病にならないように、あらかじめ十分な予防をこころがけることをおすすめします。