靴擦れやタコ・ウオノメ、すぐに足が痛くなってしまうといったトラブルの多くは靴のサイズや形状が自分の足とうまく合っていないことに原因があります。自分の足の長さ(足長)は誰でも知っているけれど、実はそれだけでジャストサイズを探し出すのは不可能。「足に優しい靴」を選んでいるつもりでも、足疲れを加速させてしまうような靴を履いている人が意外に多いようです。
ピッタリフィットの靴を見つけるためには何が必要なのでしょうか?知っておきたい「足に優しい靴」の選び方をご紹介します。
『履き心地がいい靴』が『足に優しい靴』とは限らない
足に優しい靴というと、足への負担が少ない靴。素直に考えると履き心地がいい靴ということになりますが、ここで「幅が広い」「軽い」「柔らかい」ような靴がいいのではと思った人は要注意。あなたの選んでいる靴は、「履き心地は良くても足に優しくない靴」かもしれません。
日本人は足が圧迫されることを嫌ってか、「幅の広い靴」=「足に優しい靴」という認識があって履き心地のいい靴を選ぼうとすると幅に少し余裕を持たせて靴を選んでしまう傾向があります。ところが、幅の広い靴を履いていると親指から小指に伸びる横のアーチが広がりやすく、足が横に広がってしまう開帳足につながってしまうことがあるのです。
そうなれば扁平足や外反母趾といった足のトラブルにも見舞われやすくなってしまいます。しかも最近の若い人は体型の変化の影響か、足の幅が狭く、甲が薄いという人も少なくありません。「日本人は足が広くて甲高」だからというのは、もはや過去の話になりつつあるようです。
日本の靴のサイズには足の長さである「足長」と、足の幅を示す「足囲」によって決められています。足に優しい靴は、足長は指の先に1 cm程度の遊びがあり、足囲はピッタリと合ったもの。これまで幅広の靴に慣れてきた人にとっては圧迫感があるかもしれませんが、靴を履いて実際に歩いて見れば、足囲がフィットしているほうが歩きやすいことに気がつくはずです。
朝起きてから夜寝るまで、ベッドの上以外ではどこでも靴を履いて過ごす欧米人と比べ、靴を履く時間が短く裸足で過ごすことに開放感を見出すこともある日本人は靴の選び方や使い方が下手だといわれることがよくあります。気に入ったデザインを見つけたら、片方だけ試し履きをしてそのまま購入してしまうという人もよく見かけます。本当に足に優しい靴を選ぶためには、まず自分の足囲を把握することから始めましょう。
足囲の測り方
親指の根元の出っ張ったところと、小指の根元の出っ張ったところにあたるようにメジャーを一周させます。靴専門店でお願いすれば必ずはかってくれるはずです。日本では規格で足囲のサイズが決められていて、男女それぞれ次のようになっていて、靴の箱などに記載されています。
足に優しい靴を見つけるためには?実際に靴を触ってみるべし
もちろん足のサイズを測っても、すぐにジャストフィットする靴が見つけられるわけではありません。メーカーごとに、そして同じメーカーでも靴のシリーズごとに足型の形が微妙に違っていて、その微妙な違いがサイズ感を大きく変化させてしまうからです。
そのため、靴選びでは実際に何足でも試着してみることをオススメします。たとえば、同じ【25 cmのC】でもメーカーによって前後のサイズの方がよくフィットするというケースもあるので、靴専門店のスタッフとも相談しながらいろいろな靴を試して見ましょう。
靴選びのポイント4か条
ポイント1.試し履きは夕方に、ちゃんと両足で履きましょう
足の大きさは一日の中でも変動していて、夕方には朝よりも少しむくんで大きくなっています。そのため、一日のうちもっとも靴選びに適した時間は、夕方の3時ごろだとされています。
また、靴専門店では必ず試し履きをするようにしましょう。試し履きは靴の履き心地を直接チェックできる大切なチャンスですので、必ず両足を通して周囲を歩いてみるべきです。めんどうくさがって靴紐を締めなかったり、片脚しか試さなかったりするのは、あまりにもったいないことです。足の大きさは左右で異なることもあるので、左右ともに足を通して、大きいほうに合わせましょう。
ポイント2.座らないと履けないサイズが理想
足長はつま先に若干の余裕があるものが適しています。反対に、足囲はピッタリとはまり、きつくもゆるくもないものを選ぶべきです。このようなサイズ感をきちんと合わせると、座って手や靴ベラを使わないと履きにくいと感じるはずです。普段大きめの靴を無意識のうちに選んでしまっている人には小さく感じるかもしれませんが、これが本来の大きさだといえます。
また、試し履きをしてみたらつま先立ちをしてみるとさらに靴のフィット感がよくわかります。つま先立ちをしたときに、突っ張ったり、逆に緩んでしまうような靴は、足の曲がる位置と靴の曲がる位置がうまく合っていません。この場所が合うことで歩き心地は格段に向上します。
ポイント3.靴を触って軟らかさを確かめよう
最近では軟らかい靴や、非常に軽い靴が人気を集めていますが、軽量化のために足を支えるための芯が削られているものは、足に大きな衝撃がかかったりかかとが横ずれしてしまったりすることがあるため注意が必要です。足の支えが不十分な靴を避けるために実際に靴を触って確かめてしましょう。
○かかとをつまんでみる
かかとをつまんでみて、大きくへこんでしまうものは、軽量化のためにかかとを包み込む芯が削られています。軽い履き心地になる一方、歩くときにかかとが横ずれしてしまったり、パカパカと脱げやすくなってしまったりするので、かかとの芯はしっかりしたものを選びましょう。
○靴先を曲げてみる
靴底を曲げてみて全体が曲がってしまう靴は、柔らかすぎて土踏まずのアーチを支えきれず、偏平足を助長してしまうことがあります。靴底は足の動きに合わせて曲がるのが理想。前から3分の1の位置(親指の付け根付近)が曲がり、適度な硬さがあるものを選びましょう。
ポイント4.アーチのついた靴を選びましょう
土踏まずのアーチを補強してくれるアーチのついた靴を選ぶと、長い距離を歩いても楽です。インソールを使えば後からアーチを作ることもできるので、今は履いている靴のフィット感をアップしたい場合に試してみるといいでしょう。
メーカーごとに特色が
靴選びでは、いろいろなメーカーの靴を試し履きして見ましょう。
靴作りの要である足型は、メーカーごと、さらにはシリーズごとに異なっているので、足の長さはぴったりなのに足囲が合わないとか、足囲はちょうど良くてもつま先に余裕がないといった微妙なサイズの不一致はメーカーを変えてみることで解消できることがよくあります。
どうしても合わないときにはインソールで対応しましょう。
インソールには熱を加えて整形できるタイプのものもあり、靴専門店でお願いすればその場で形を整えてくれるはずです。
ここまで紹介してきたポイントを抑え、靴紐をしっかり締めれば、体の一部のように感じられて長い距離を歩いても疲れにくくなるはずです。お出かけのときには、ぜひ賢く選んだ足に優しい靴を使ってみてください。