今日は一段と肩が痛い!
ほら、触ってみて。すごく硬いから!
え、わかんない?
おかしいなぁ。こんなに痛いのになあ。
肩こりのつらさが分かり合えず、夫婦喧嘩になってしまうこともあるのでは。
肩のこり具合や肩こりに伴う痛みの大きさは、体重や体脂肪率と違って数値化することができないため、人と比較したり、先月の自分と比べたりすることができません。こんなにつらい思いをしているのに、人と共有できないのはちょっと寂しいと感じたり、どれほどの苦労を重ねているのかを数字で表せないのは不便だと感じている人も多いのではないでしょうか。
そんなあなたに朗報です!
画期的なアイディア商品で、肩こりも少しずつ客観的に評価できるようになってきたようです。たとえば超音波を使って筋肉を直接測るエコー診断では、深部にある筋肉の硬さまで丸裸にできるし、3D診断カメラを使えば骨格の位置を3Dモデルに取り込んで、身体の歪みが一目瞭然に!客観的にどこがどう悪いのかが判れば、整形外科での治療や、整体院での施術、さらにセルフケアにも大いに役立つはずです。
さて、そんな新時代の肩こり測定器具の中から、今回は私たちでも購入できる『筋硬度計』についてご紹介しましょう。
筋硬度計を使ってあなたの肩こり度を数値化
肩に押し付けるとピッと鳴って筋肉の硬さを測定する。そんな、ありそうでなかった便利な器具が「筋硬度計」です。
工業用品のようですが、使われているのは全国の施術院やエステサロンです。
※画像は佐藤商事のHPより引用
筋硬度計とは、疲労度によって変化する筋肉の硬さを測定する圧力計です。硬さを測りたい場所に端子を押し当てると、目盛りの針が移動し、筋肉の硬さを数値として教えてくれます。測定誤差をなくすため、押し付ける圧力が一定になるように設計されていて、今まで感覚でしかわからなかった筋肉の硬さを客観的に数値化できるというすぐれものなのです。
この筋硬度計が主に使われているのは、整体院やエステサロン。左右の硬さの差を測ることで重点的にもみほぐすべきところを探ったり、施術の前後で数値を比べて成果を確認したり……。意外といろんなことに役立てることができるようです。
また、ときにスポーツ科学や、筋肉研究の分野でも使われることもあるようです。「筋硬度計 スポーツ科学」で検索すると、ホラ、論文がこんなにたくさん。運動後の筋肉の硬さの変化や、病気による状態の変化を調べるとき、押し付けるだけで好きな場所の硬さを測れる筋硬度計は非常に便利なようですね。
数値の目安は?
さて、ここで気になるのが筋硬度計が示す“その数値”ではないでしょうか。施術を受けるときに「高い、低い」と言われても、基準がわからなければ何のことやら。いったいどのぐらいの値が標準的なのでしょうか。
測定器商社の佐藤商事によると、筋硬度計肩こり測定器TDM-NA1での被験者591名の平均値は20.6、最高値は42。統計的には、筋硬度30以下であれば一安心、40以上になると肩こりの危険水域になるようです。
左右で違うことも多いので、片側だけ測って安心していてはいけません。
ただ、筋肉の硬さは、筋肉質なのか、それとも体脂肪率が高いのかといった体質によって数値が異なり、単純に数値だけを人と比較することはできません。さらに、測定箇所によっても数値の傾向は変わり、例えば筋肉が薄い首筋は高い数値が出やすいのだとか。数値が高いからといって過度に心配する必要はありません。
筋硬度は過去の自分と比べるものです
一般的には、筋肉の硬さが30を超えると肩こりの可能性があるといわれていますが、これはあくまでも目安です。性別、年齢の違い、体脂肪率や筋肉量の違いから、人によって筋肉の硬さは大きく異なります。
また、数値が高いからといって必ず肩こりを感じるというわけでも、数値が低いから肩こりの心配は不要だというわけでもありません。なぜなら、肩こりは筋肉の硬さだけが原因ではないからです。
肩こりの要因は大きく分類して、筋肉・血管・神経と3つあり、筋肉はそのうちの一つでしかありません。筋肉の硬さを測定しただけでは、血管の状態や、神経の傷が原因の痛みなどはわからないものです。また、肩こりや腰痛のような慢性的な痛みでは、精神的なものがかなりの割合で影響しているということもわかってきています。
そのため、筋硬度計の数値を人と比べて一喜一憂するのは誤解の元。あくまで過去の自分と比較して、筋肉の疲労の度合いや、施術の効果を確かめるための器具だと考えたほうがいいでしょう。
さらに運動療法やマッサージ、鍼など、いろいろな施術を受けてみた後で、それぞれどのような変化があるのかを試してみるという使い方も面白いかもしれません。セルフケアや施術の効果の実感は人によって千差万別。あの人はヨガが大好きだけど、私には効果が感じられないわ、なんてことも日常茶飯事。そこで、めぼしいケアを実践した後、筋硬度計を使って数値が下がったかを確かめてみるといいというわけです。
たとえば、これは腰痛の話ですが、アメリカのACPは下表のような治療法を推奨しています。肩こりにも共通のケアはたくさんあるはず。筋硬度計とともに、自分にぴったりの方法を試してみましょう。
治療院で使われているものだと考えると意外とお手ごろ(?)
あくまで目安としての使用が前提ですが、筋肉の硬さを実数値として表現できるのは魅力的です。右肩がつらくて試しに筋硬度を計測してみたら、実は左肩のほうが数値が高くて初めて左肩のコリを意識したということも。利き手側ではない肩は違和感を感じにくいこともあり見逃されがちです。客観的に『見える化』することで今まで見逃していた肩こりも入念にケアできるはずです。
筋硬度計は医療機器ではなく、お値段も手ごろな(?)50000円前後。ちょっと奮発すれば、個人でも買うことができます。
あくまで目安だと割り切って、職場のみんなで測りあってみれば盛り上がること間違いなし。苦労している人をいたわるきっかけになるかもしれませんね。
単純に人と比べられるものではないとわかっていても、体脂肪率や体重で一喜一憂してしまうのが私たち。肩こりに悩んでいる方、専用器具で一度『見える化』してみてはいかが?