寝返りのしやすさも必要。腰痛対策のためのマットレス選び

あなたはどのようなマットレスを使っていますか?

普段から腰痛で悩んでいるのなら、一度は気にかけたことがあるであろうマットレス。

「イマドキは低反発~」「いやいや高反発」なんて流行りを追いかけて、一向に腰痛が改善しないばかりか、体に合わずますます悪化……。

思い当たる点がある人は、まずマットレスを選ぶ際のポイントを押さえるところから始めましょう。

勘違いしていませんか?マットレス選びの正しい知識

マットレスの宣伝文句を見ると、どれも「最高の寝心地」「腰痛対策におススメ」などといった言葉が目立ちます。

新素材が次々登場している今は、数年ごとにラインナップががらりと変わる進化の時代。

数年前に独特の触感が心地いい「超低反発」がブームになったかと思えば、最近では再び硬めのマットレスの人気が上昇しつつあり、トレンドの変化も激しくなっています。

こうしたトレンドに踊らされていることが、なかなか腰痛を改善できない要因の一つになっているかもしれません。

日本人は畳に布団を敷いて寝ていた習慣があったためか、硬めのマットレスが好まれる傾向があるようです。

また、その反動からかなり柔らかめの低反発マットレスも一定の人気を獲得しています。

ところが、極端に硬すぎたり柔らかすぎたりして体に合っていないマットレスは、かえって体に負担がかかって腰痛を引き起こしかねません。

硬すぎるもの骨があたり痛みを生じたり、血流が妨げられたりして熟睡を妨げ、柔らかすぎるものはお尻が落ちて姿勢が悪くなってしまうためです。

マットレスを購入する際、必ずチェックしてほしいのが腰のフィット感です。

上から手で押さえたり、座ったりして硬さを確かめる人が目立ちますが、これだけでは本当の寝心地はわかりません。

横になって、体がどれぐらい沈み込むのかを確かめてください。

さらに、横になって寝心地を確かめるときには、枕を使ってください。

枕で頭が持ち上げられることで腰が伸び、寝心地が変わるためです。

このとき腰が落ち込むような違和感や、窮屈感がなければ体に合っているマットレスだといえるでしょう。

また、この際に寝返りのうちやすさを確かめるのも大切なポイントのひとつです。

マットレスに長時間触れている部分は血液循環が滞ることでむくみやすく、体に負担がかかります。

ひどいときには痺れたり痛みを引き起こしてしまうことも。

これを防ぐのが寝返りで、睡眠の質を高める重要な動作なのです。

そのため、スムーズに寝返りが打てるかどうかを確かめることがいいマットレスに出会うためのポイントです。

骨などを圧迫する硬すぎるマットレスや、体が沈みこんでしまう柔らかすぎるマットレスは、寝返りの妨げにもなってしまいます。

寝返りを妨げない広さも重要でしょう。

理想としては、一人用のベッドとして、セミダブル以上の大きさのものを使うこと。

少なくとも、ベッドの上で一回転しても、落ちる心配がない幅の広さは確保したいところです。

若く健康な人は1時間当たりおよそ4回、一晩におよそ24回もの寝返りをうつといわれていいます

(※1)寝相は上向きで寝ているときが、もっともリラックスした状態だといわれていますが、寝返りによって頻繁に姿勢を変えることになるため、自分が寝やすい姿勢でストレスなく眠りに入る方がよりよい睡眠つながります。

〇ポイント〇 体重によって適切な硬さが変わる

以下の指標はあくまで目安です。購入する前に、必ず実物の寝心地を確かめるようにしましょう。

・ガッチリ体型

体の重みでめり込むことを避けるため、高反発のやや硬めを選ぶと快適なことが多いようです。
背中についた肉で、首の位置が高くなることもあるので、高さの調整ができる枕がおススメ。

・スリム体型

寝返りの際、肩が痛まないように柔らかめのものを選ぶと安心できます。

・部位によって硬さを変えられるマットレスも

場所ごとに硬さを自由に調整して、浮きやすい腰を硬めに、沈みやすいお尻と肩を柔らかめに設定できるマットレスもあります。

(参考:厚生労働省e-ヘルスネット『快眠のためのテクニック』
(※1)健常者における睡眠中の寝返り回数と日間変動の検討(第 50 回日本理学療法学術大会)

厚着よりも掛け布団で対応。寝返りが打ちやすい工夫を

あまり知られていませんが、マットレスの寿命は7~10年。

快適に使い続けるためには、3カ月に1回上下を入れ替える、ローテーションが推奨されています。

使い古され、中のバネがへたってしまったマットレスでは、お尻が沈み込んで腰を痛めるひとつの要因になりかねません。

腰やお尻が当たる部分が緩やかにへこんでいたり、手で押してみて、ほかの部分よりも弾力が感じられなかったりといった違和感をもったら買い替え時です。

すぐに用意ができないときは、応急処置としてへこみにタオルを敷いてかさ上げすると快適さを取り戻せます。

一方、枕はマットレスと同一メーカーのものを買うのがおススメです。

マットレスと組わせて設計されていることが多いので、体にあう確率も高まります。

また、大きさが合っていないパジャマや、厚着も寝返りの妨げになることがあります。

とくに冬場はカーディガンやフリース、裏起毛のもこもことしたパジャマを着こんで、厚着する人がいますが、掛布団などで調整した方が快適に過ごせます。