手足が冷えてつらい、温めてもすぐに冷えてしまう……。
寒い季節になるとつらいのが手足の冷えですが、最近では夏の暑い季節でも「冷え」を訴える人が増えています。
ネット通販大手ニッセンの調べでは、7月の調査にもかかわらず男女合わせて6割の人が自分は「冷え性」だと認識しています。
一体どうしてこれほど多くの人が冷えに悩んでいるのでしょうか。
冷え性の主な原因はストレスや生活習慣。日々の生活サイクルに原因があるようです。
夏なのに「冷える」は自律神経の乱れが原因かも
足は血液送り出す心臓から最も多い位置にあり、しかも一番下に位置しているため血の巡りが悪くなりやすい部分です。また、心臓を出発したころには暖かかった血液も、ふくらはぎを経て足先に届くころには冷えてしまうため、足の末端は誰しも冷えやすいといえるでしょう。
しかし、多くの人を悩ませる「冷え性」の原因はそれだけではありません。生活サイクルの乱れからくる、体温調整機能の狂いも大きな影響を与えています。
私たちの体温調節には自律神経の働きが密接にかかわっています。
「手足が冷えてしまう」末端型の冷え性は、この自律神経の乱れが主な原因になっているケースが多いようです。。
自律神経には体を活動モードにする「交感神経」と、休息モードにする「副交感神経」があり、2つは交互にバランスをとりながら私たちの体をコントロールしています。
副交感神経には血管を緩め広げる働きがあり、熱を外に逃がす指令を送ります。
就寝前に手足が温かく感じるのは、この作用で熱が放出されているからです。
一方、交感神経には血管を縮めて熱が外に逃げるのを防ぐ役割があります。
冬の寒い日に手足が冷たくなるのはこの働きのためで、体の中心部の熱を逃がさないための正常な反応です。
副交感神経は手足の隅々まで血行をよくし、交感神経は心拍数や血圧を上げる働きがあるので、どちらも血液を循環させるために必要不可欠なものです。
冷えを改善するためには、交感神経と副交感神経がバランスよく作用することが大切なのです。
ところが、現代人の生活には交感神経を活発にしてしまうストレスがあふれています。
ストレスがかかった状態が続くと体の緊張状態が解けず、常に交感神経が働いた状態に陥ってしまいます。
さきほど冬の寒い日の例を挙げましたが、交感神経が働くと同じように手足の血管が縮んでしまい、体温は正常なのに手足だけが冷えてしまうといった症状が現れます。
ストレスだけではなく食事や睡眠の時間がバラバラといったことも、自律神経のバランスを崩してしまう要因になることがあります。
ストレスや生活習慣の乱れが、体の冷えを引き起こす大きな要因となっているのです。
(参考:『女30代からのなんだかわからない体の不調を治す本』東京書店)
思い当たることはない?冷え症を呼ぶ生活習慣
ストレスや生活習慣の乱れが大きな原因となっている夏の冷え性。
どのようなシーンが要注意なのか、具体的に見ていきましょう。
〇朝食をとらないのは冷えを呼ぶ
暑い夏は食欲も減衰し、朝ごはんを食べることもおっくうになりがち。
しかし、朝をヨーグルトやコーヒー1杯で済ましていると体温の源になるたんぱく質が不足して、日中の冷えの原因になりえます。朝は意識してしっかり食べるように心掛けましょう。
また、よく冷えた飲み物や食べ物の摂りすぎは内臓冷えの原因に。
体温以上の温かいものを食べることが冷えを防ぐことにつながります。
〇無理なダイエットをしている
脂肪には断熱作用があり、体で作られた熱を逃がさないようにする働きがあります。
脂肪を落としすぎると、今まで何ともなかった温度でも寒く感じることに。
また、ダイエットで体重が減ると同時に筋肉も減ってしまいます。筋肉は体の熱の半分以上を作っています。
冷え症に悩まされているのなら、ダイエットの方法を見直す必要があるでしょう。
〇薄着は避ける
女性の夏のファッションは薄着のものが多いですが、これでは身体を冷えから守ってくれません。首回りが大きく開いた服、ミニスカート、足首が露出した靴下は冷えの大敵です。
また、締め付け感のある下着、ブーツ等も血の循環の邪魔をして足の冷えの原因になります。
靴下は締め付け感のない、保温に優れたものを選びましょう。
〇エアコンは夏の冷え性を引き起こす代表選手
誰もが感じているように、エアコンは体の冷えと密接にかかわっています。
特に体温調整機能を狂わせやすいのが、屋外と室内の気温差が大きい場合。
今まで冷房が効いていた屋内から猛暑の屋外に出ると、肌では暑さを感じているのに体内の温度が低いままなので自律神経が混乱してしまうのです。冷え性だけではなく夏バテの原因になってしまう要因なので、エアコンの多用は筋肉量の多い男性でも特に注意が必要です。
寒さを感じない程度の温度設定にとどめ、それでも暑さを感じるなら除湿をするなど温度差が大きくならないような工夫をしましょう。
〇座りっぱなしは足冷えを呼ぶ
デスクワークなどで座っている時間が長いと、足の血行が滞り下半身冷えの原因になります。
ときどき膝同士をくっつけて力をこめるなど、足の筋肉を使うように意識しましょう。
通勤通学では大股で歩き、階段を使うなど足を鍛える運動も血行の改善に役立ちます。
〇喫煙習慣は血管を狭める
たばこを吸うとニコチンが吸収され、血管を収縮させて血の巡りを妨げてしまいます。
冷えの気になる人は、確実に禁煙をするべきです。
〇熱いシャワーでパッと済ます、は気を付けて
冷えが気になるからといって、シャワーやお風呂の温度を適温よりも熱めに設定する人がいますが、これは避けたほうがいいでしょう。
末端冷えの解消には、ぬるめの全身浴で血行の促進を図った方が効果が現れます。
〇就寝直前のスマホは自律神経のバランスを崩す
就寝前は次第に体が休息モードに切り替わる時間帯。
しかし、スマホやパソコンの光が目から入るとこの切り替えがうまくいかず、自律神経のバランスが崩れる原因になることもあります。
また夜21時以降の食事も内臓が休まらないため控えましょう。
寝る時間や食べる時間を規則正しく守ることが、自律神経のバランスを整えます。
体を冷やさず、規則正しい生活を
自律神経を整えるのは、規則正しい生活です。
食事や就寝、起床の時間を守ることが有効です。
朝、日の光をしっかり浴びる、寝る前にお風呂にゆっくり浸かる、といったことも生活にリズムを付けやすくします。
冷え症の対策は服装に気を付け体を冷やさないことはもちろん、生活を立て直すところから始める必要があるのです。