各地で開かれるマラソン大会の人気が追い風となり、ランニング人口はいまや2200万人ともいわれています。
健康のため、いいタイムを取りたいからと、人によって思いはさまざまですが、頑張りすぎて膝や足を壊すランニング障害に悩む人も少なくありません。
長く、安全に走り続けるためにはどうしたらいいのでしょうか。
なぜランニング障害が起こるのかを知り、予防に役立てましょう。
プロ選手の真似は要注意!?道路に潜む思わぬ落とし穴
流れるような美しいフォームで走るプロのマラソン選手。
いつか自分も、とプロのフォームやペースを参考にするアマチュアランナーは多いかもしれません。
靴は軽い方がいい、とプロ選手のように靴底が薄い軽量モデルを選んでいる人も多いかもしれません。
でも、ちょっと待ってください。
学生時代から今までずっと長距離走の訓練を積んできたのならいざ知らず、30、40になっていきなり始めた初心者が、プロの真似をすることはランニング障害のリスクが高く危険です。
特に膝や足首ではランニングによる障害の発生頻度が高く、一度起こると痛みのために走れなくなることも。
少しでも痛みを感じたら、走り込みはほどほどに、体のケアを眼が得なければいけない時期です。
こんな間違いがランニング障害を引き起こす
1.ランニングシューズの選択ミス
プロはタイムを少しでも早くするため、靴底が薄い計量モデルが主流になっています。
しかし、日本臨床スポーツ学会の報告では靴底が9mm薄くなると着地の衝撃が80kgも大きくなるとされています。
初心者は耐衝撃性能が高い底の厚い靴を選ぶべきです。
極端に靴底が磨り減る前に、総走行距離500kmを目安に買い替えましょう。
また、窮屈すぎたり、逆にゆるすぎたりする靴はランニング障害の原因になります。
あの人が使っているからや見た目ではなく、自分の足の形に最適な靴を選ぶことが大切なのです。
2.準備運動・整理体操が不十分
プロの選手はテレビで映っていないところでかなりの準備運動・整理体操を行っています。
それは普段の練習でも同様です。
場合によっては、フルマラソンのうち最初の10kmは課題を克服し、残りをクールダウンだと思って走ることもあるとか。
勝手な思い込みで準備運動や整理運動を削るのをもってのほかです。
準備運動やストレッチを怠ると、体の硬さから特定の箇所に負荷が集中してしまいます。
念には念を重ねて体を温めましょう。
ランニング前のストレッチには、今日のコンディションを確かめる意味も含まれます。
とても大切なことなのです。
3.フォームが体に合っていない
一流選手とアマチュア選手では、フィジカルの強さが違います。
いきなり一流選手を真似たフォームを目指すと、筋力が伴っていないため、思わぬ負荷がかかってしまうこともあります。
初心者はストライドを小さくとって、ペースを上げるときにはピッチ(回転数)を増やすことが鉄則。
特に、膝が外に向くO脚は膝を傷める原因になりやすいので、普段の歩き方から足先と膝を正面の同じ方向へ向けられるように見直していきたい。
4.走行距離が体力に見合っていない
当たり前のことですが、体力以上の距離を走ってしまうと痛みや疲労が蓄積しやすくなります。
月間200kmが一つの目安。
むやみに大会に出たり、走り込みを増やしたりはオススメできません。
5.自分の体のチェック不足
O脚がある、扁平足がある、といった自分の特徴が把握できていないとランニング障害の兆候を見逃してしまいます。
ランニングの前後には下半身を中心としたチェックの習慣をつけましょう。
当てはまるところはないでしょうか。
とくに学生時代運動部に所属して鍛えていたという自信がある人ほど、今の自分に合ったフォームや走行距離・ペースを無視しがち。
まだいける、この程度、と思っているうちに疲労が蓄積して本格的なランニング障害に発展しかねません。
さらに、見落としがちなのが道路につけられたかまぼこ状の傾斜です。
実は車道は排水を促すために、中央が高く路肩が低いかまぼこ型の傾斜がつけられています。
そのため、道路中央側の足は常に回転運動が助長され、ランニング障害の原因になることもあると指摘されています。
そのため、なるべく同じ側を走り続けないように心がけましょう。
ストレッチを通して状態をチェック
ランニング障害の予防には、常に自分の状態を把握しておき、違和感がある場合にはその原因を早期に解決することが有効です。
そのために、まずはランニング前の入念な準備運動とストレッチを習慣にするといいでしょう。
腰や股関節のストレッチも含め、とくに膝や足は入念に行いましょう。
同時に靴下を脱いで足の状態をチェックすることが有効です。
チェック項目
〇赤くなって腫れているところはないか
〇土踏まずは痛くないか
〇足首は滑らかに回るか
〇押して痛む場所がないか
赤く腫れている場合や内出血がある場合には走らないほうがいいでしょう。
走りだして痛むところがある場合にもランニングは中止したほうが無難です。
そのような場合には軽いメニューに止め、マッサージやほかの部分のトレーニングに充てましょう。
靴は速く走るのではなく、安定して走ることを目標に、靴底(ソール)が厚くクッション性の高いものを選びましょう。
このとき、つま先とかかとのソールの厚みの差「ドロップ」が高い方が、重心移動が楽にでき、膝や足裏への負担がかかりにくくなります。
ランニング障害で故障する可能性が高いのが膝です。
退行性膝変形症では不可逆的に膝が変形してしまうため、そうなる前の予防が肝心です。
痛みが出てからはもちろん、痛みが出る前から膝サポーターを使うことで靭帯を保護することができます。
ただし、膝サポーターを常用すると筋力が低下してしまうため、走るときだけ、上り下りが激しい区間だけ着用するなど、一定のルールを持って使用するようにしましょう。