【図解】寝ながらストレッチ5選!あっという間に気持ちいい

疲れて家に帰ってきたあなた。運動をする時間も体力もないと嘆くより、ごろごろしながらでもできるストレッチをしてみませんか?

実は今、寝ながらできるストレッチが大ブーム! 寝ながらだから、余計な力が抜けて効果的なストレッチができるというメリットも!?その日の疲れはその日のうちに。これさえ読めばストレッチの基本がわかる。“寝ながらストレッチ虎の巻”です。

ストレッチをやる前に―――確認したい約束事

ご紹介する“寝ながらストレッチ”はなるべく危険がないように考慮されていますが、ケガをしないようにいくつかの約束事を守ってください。

1 必ず身体が温まっているときに行うこと

急に筋肉を伸ばすと痛めてしまうおそれも。必ず身体が温まった状態で行うようにしてください。お風呂上りが一番おすすめのタイミングです。そのままぐっすり寝てしまいましょう。

2 力任せにやらないこと

当たり前のことですが、力任せに伸ばし過ぎないようにしてください。ストレッチは強ければ強いほど効くというものではありません。

3 【10秒×3回】の3セットを守ること

後述しますが、ストレッチはバランスが一番大事です。どこか1箇所だけをやりすぎてしまうと、それが元で別の場所にトラブルが発生します。そのため、いろんなメニューを満遍なくが基本中の基本。要するに、適度な硬さも必要なのです。

4 背筋は常に伸ばすこと

腰を丸めたままひねったりするとかえって痛めるおそれがあるので、各ストレッチは背筋を伸ばしながら行ってください。腰というのは基本的にストレッチ不要な箇所です。腰が痛いという悩みも、腰以外に原因があることがよくあります。

厳選!寝ながらストレッチ

効果的で、なおかつ安心しておすすめできるストレッチを厳選しました。お風呂上りにそれぞれ1セットずつチャレンジして、そのまま気持ちよく寝てしまうのがおすすめです。

1 肩こりを解消したい

▼よくある残念な例

野球のウォーミングアップでよくやるように、胸の前で腕を十字に組んで、肩甲骨の後ろをストレッチ。

この方法は三角筋や後背筋など、背中側の筋肉を伸ばすストレッチですが、実は肩こりを呼ぶ猫背は背中が丸まって伸びている状態。伸ばすのではなく、縮めた方が効果的です。

△こんなストレッチがおすすめ

肩と対になっている大胸筋を重点的にストレッチ

やり方

  • ベッドに仰向けになって、片方の腕をベッドの縁から垂らします。
  • 垂らした手の甲を床に付けて、胸の前を伸ばします。
  • 真横、斜め上45度、斜め上60度の3方向をそれぞれ1セットずつ行いましょう。

アドバイス

腕の角度をつければつけるほどつらさを感じるので、真横から順番に伸ばすようにしましょう。物足りなさを感じる人は肩が柔らかい証拠。500mlのペットボトルを持ちながら行うとさらに伸びて効果的です。

2 腰のもやもやを解消したい

▼よくある残念な例

仰向けで、膝が顔の前に来るように脚を頭上に持ち上げるストレッチ

良く見る腰のストレッチですが、腰のもやもやを解消したいときに腰をストレッチしてもあまり効果的ではありません。また、もしバランスを崩して左右に倒れると、腰を伸ばしたままひねってしまい、痛める原因になります。

△こんなストレッチがおすすめ

ハムストリングス、膝裏、ふくらはぎなど、身体の裏側を一度に伸ばせるストレッチ

やり方

  • ベッドに仰向けになって、片方の脚にハンドタオルをひっかけてタオルの両端を握ります。
  • そこから脚を90度まで持ち上げて、タオルを引っ張って膝を伸ばしましょう。
  • できる最大のところでキープします。

アドバイス

刺激が足りないからと、90度を超えて脚を頭の方に近づけるのは、伸ばす必要のない腰まで伸びてしまうのでNGです。伸ばせる範囲がとても広く、座りっぱなしで起こりやすい悩みを持つ人に広くおすすめできるストレッチです。まずはこれから始めるのが良いかもしれません。

3 股関節を柔らかくしたい

▼よくある残念な例

とにかく開脚したいからと、脚をめいっぱい広げて上半身を倒すストレッチ

確かに股関節を広げるストレッチになりますが、身体が硬い初心者がやると背筋が丸まってしまいます。腰に余計な負担がかかることになるのでおすすめできません。(背筋がぴんと伸びていれば大丈夫ですが、これが結構難しい。)

△こんなストレッチがおすすめ

仰向けになって腰に負担をかけずに、股関節だけストレッチ

やり方

  • 仰向けで脚を片側だけ組みます。
  • 組んだ脚の膝をベッドに近づけるように落としていきます。

アドバイス

膝の下に平面をイメージして、それがベッドと水平になるように脚を倒していくとコツをつかみやすくなります。水平を超えて膝を落とす必要はありません。

4 足の付け根のつまる感じを解消したい

▼よくある残念な例

足の付け根の違和感を無くそうと、あぐらをかいて上半身を前に倒していくストレッチ

あぐらは腰を後ろに倒す座り方なので、そこから上半身を前に倒すと腰に大きな負担がかかり危険です。また、膝を地面に付けるようにテンションをかけても、伸びるのは内転筋で、足の付け根はストレッチされていません。

△こんなストレッチがおすすめ

枕を太ももに敷いて、脚の付け根だけを重点的にストレッチ

やり方

  • ベッドにうつ伏せになり、片方の脚の太ももの下に枕を敷きます。
  • そこから枕を敷いた方の脚を曲げて、かかとがお尻につくように押さえて太ももの前や足の付け根を伸ばします。
  • つかない場合も、できるところまでキープしましょう。

アドバイス

両脚をいっぺんに曲げると、腰が反りすぎてしまうので、必ず片脚ずつストレッチするようにしましょう。

5 首のこりを解消したい

△こんなストレッチがおすすめ

椅子に腰掛け、頭を前斜め方向へ倒すストレッチ

やり方

  • 背筋を伸ばして座り、正面を向きます。
  • 正面を0時としたとき、7時の方向に腕を引っ掛け、1時の方向に頭をゆっくり倒します。
  • 同じように、反対側は5時の方向に腕を引っ掛け、11時の方向に頭を倒します。

アドバイス

頭の重さを利用したストレッチなので、他に余計な力をかける必要はありません。首はデリケートな部分なので、ゆっくり動かすようにしましょう。

“寝ながらストレッチ”の約束事には理由がある

ここからは少し専門的になりますが、寝ながらストレッチに挑戦する人にはぜひ知っておいて欲しいお話です。このストレッチ特集では、最初に4つの約束事を定めるという、他にはない構成をとっています。それは、なぜか。ストレッチは取り組み方によっては身体のバランスを崩してしまいかねないものだからです。

そもそも、ストレッチというのはスポーツのパフォーマンスを高めるための方法として、筋トレとセットで発達してきた背景があります。筋肉のコンディションを高めるという点において、筋トレとストレッチには本来区別はありません。

トレーニングとしての筋トレを考えたとき、ある1種類のトレーニングが得意だからとそればかりに取り組んでいる人がいたとしましょう。それで競技のパフォーマンス全体が上がるでしょうか。身体のバランスが崩れてしまい、かえってパフォーマンスを落としかねないということはスポーツをしない人でもなんとなくわかることだと思います。そばにトレーナーがいれば、きっとほかの部分もバランスよく鍛えるように指導をするでしょう。

実は、ストレッチというのもまったく同じで、あるストレッチが気持ち良いからとそればかりやっていると、結果として筋肉の調和を乱し、いろいろな部分にトラブルが飛び火してしまうこともあります。また、間違ったストレッチが原因で関節の故障を招いてしまうという点でも筋トレと同じです。

筋力トレーニングの分野ではこれほどまでに「理論」が叫ばれている今日、「理論」抜きのストレッチ情報が氾濫しているのはアンバランスな状況だと感じませんか。

知っておきたいストレッチの理論

一口にストレッチといっても、やり方によって「動的ストレッチ」と「静的ストレッチ」の2種類に分類できます。アキレス腱を伸ばすストレッチで2つの違いを比べてみましょう。

動的ストレッチは文字通り、かかとを下げたり上げたりして、身体を軽く動かしながら行うストレッチです。一方の静的ストレッチは、かかとを下げたままじっくり伸ばすストレッチ方法。どちらも大して変わらないように感じるかもしれませんが、例えばランニングの準備体操として柔軟を行う場合には、静的ストレッチよりも動的ストレッチの方がいいとされています。

というのも、ストレッチというのは基本的に筋肉の働きを弱める作用があるためです。筋肉は収縮することでしか力を発揮できない器官なので、伸ばすという行為は力を入りにくくする方向へ働くのです。ですから、これから筋肉にめいっぱい動いて欲しい運動前にはあまり伸ばしすぎない動的ストレッチがおすすめです。もし筋肉を伸ばしきる静的ストレッチをするなら、運動後のクールダウンに取り入れましょうというのがスポーツ界での常識です。

では寝ながらストレッチはどちらかといえば、横になってじわっと効くストレッチをするので「静的ストレッチ」に分類できます。これは筋肉の働きを弱める方向へ作用するストレッチですから、使いすぎて硬くなった筋肉をほぐすのにもってこいです。逆に、あまり使っていない筋肉に行うのには向いていません。

ストレッチするのに向いている筋肉と向いていない筋肉があるとは、どういうことでしょうか。例えば、デスクワークが多くて肩や背中がつらいという人の場合、上では背中ではなく胸のストレッチを紹介しました。この流れに「?」が浮かんだ人もいたのではないでしょうか。ですが、デスクワークのこりの多くは猫背が原因で、背中はむしろ伸びっぱなしになっているはずです。ですから、この状態を解消したいのであれば、伸ばさなければいけないのは縮こまっている胸側なので、正解は大胸筋のストレッチとなるわけです。

背中と胸のように、筋肉は姿勢を身体の表と裏から支えています。たとえてみれば、ちょうどテントの支柱の関係です。両側の張り糸がピンと張っているうちはまだ支柱は立っていられますが、伸ばしすぎるとグラグラになってしまいます。特に腰はやりすぎに注意したい部分です。やりすぎると安定感を失ってかえって痛める原因になってしまうおそれがあります。

ですから、気持ち良さを感じていたとしても、何十分も同じ場所ストレッチし続けていてはいけません。【10秒×3回】の3セットという運動量を約束したのは1箇所を伸ばしすぎないためです。また、ストレッチといえども運動であることには違いありません。身体が冷えているときに突然走り出すと故障してしまうことがあるように、朝起き抜けに始めると危険です。必ず身体が温まったとき、例えばお風呂上りやランニングの後に行うのが良いでしょう。約束事を守って、安全にストレッチを楽しんで欲しいと思います。