新幹線や飛行機など、長い時間座りっぱなしで移動をしていると、なんともいえない疲労感でぐったりしてしまうことも少なくありません。
これから仕事や観光を控えている人にとって、移動疲れは悩みの種。
なにか有効な予防手段はないものでしょうか。
今回は、そのようなお悩みを解決するヒントを紹介します。
長距離移動で疲れる原因は【FF】にあった!?
そもそも、どうして座っているだけで足のだるさを感じるようになってしまうのでしょうか。
立ちっぱなしだったり、歩いて移動していたりするのならいざ知らず、座っている姿勢というと相当楽な部類に含まれるように思います。
ところが、この座っている姿勢というのが足の疲労感を引き起こす大きな原因になっているのです。
最近の研究では、現代型の疲労の原因は栄養不足でも体の動かしすぎでもなく、自律神経の機能の低下にあるということがわかってきました。(産官学連携:疲労定量化及び抗疲労食薬開発プロジェクト)
この研究では、実は運動をしたときであってもデスクワークをしたときであっても、疲れているのは筋肉ではなく、脳にある視床下部や前帯状回といわれている領域で、交感神経と副交感神経を調節している分野だということがわかっています。
この領域に負担がかかると活性酸素が大量に発生して、疲労因子【FF(Fatigue Factor)】が作られます。
活性酸素の量が増え、【FF】が体の中で増えていくことで、強い疲労を感じてしまうようになるというのです。
(参照:『解明されてきた現代における「疲れ」の原因』ヘルシスト233号)
座りっぱなしの姿勢が続くと、股関節が固定されてしまい下半身だけではなく全身の血液の流れが悪くなります。
すると、循環を調整している自律神経に大きな負担がかかって【FF】が次々と生み出されてしまうだけではなく、老廃物を代謝する機能も低下して体の中の【FF】がどんどん増加してしまい、つらい疲労や足のだるさを感じてしまうようになります。
とにかく足を小まめに動かしましょう
では、どのようにしたら長距離移動の疲労感や足のだるさを軽減することができるのでしょうか。
移動中の足のだるさを予防するためには、座りっぱなしの状態をなるべく避けるようにすることが有効です。
できれば座席は通路側を選び、30分に1回はトイレや自動販売機まで移動するなど、足を動かす時間を意識して作ることで、血液の流れを促すことができます。
他にも足のエクササイズやストレッチを知っておけば、どうしても立ち上がれない場合などの予防法として役立ちます。
新幹線や飛行機の座席でもできる運動をいくつか覚えておきましょう。
○つまさき立ちエクササイズ
つまさきを床につけたまま、かかとをリズムよく上げ下げしてふくらはぎの筋肉を伸縮させましょう。
同時におしりを左右交互に持ち上げると、さらに効率的に体を動かすことができます。
○つまさきタッチストレッチ
足を肩幅に開き、左手で右足を、右手で左足をタッチしましょう。
背中やおしりの筋肉が伸びるとGood。
普段から抗酸化物質を摂取して疲労予防を
足のだるさを引き起こしているのは、疲労物質であるFFです。
自律神経の中枢に働きかけて活性酸素を分解する抗酸化物質をたくさん食べれば、FFの発生を抑えることにつながり、疲労の予防につながると考えることができます。

抗酸化作用が強い物質として「フェトケミカル」というものが知られています。
これは野菜や果物の色や香りの成分の総称で、有名なものでは「リコピン」「β-カロテン」「アントシアニン」などが含まれます。
また野菜や果物には、同じく抗酸化作用があるビタミンC、ビタミンEも豊富に含まれているものが多いので、普段から色が鮮やかな野菜や果物をたくさん食べるようにすることで疲労の予防につながると考えられます。
厚生労働省の調査では、20代の女性のうち主食・主菜・副菜を毎日食べられている人は、わずか38%しかおらず、その4割弱の人たちでさえ多くの人が野菜の摂取目標量を達成できていないことがわかっています。(参照:平成27年「国民健康・栄養調査」)
野菜不足から抗酸化物質が不足して、疲れやすい人が増加しているのではないかということも考えられます。
小まめに体を動かす工夫と、普段からの栄養バランス。
このふたつを守って、疲れにくい体を目指しましょう。