徹底対策で痛みを予防!足裏が痛いランナーのためのケアメソッド

今年もマラソン大会が各地で開催される時期が近づいてきました。

近年はスポーツ熱の高まりもあり、各マラソン大会は抽選漏れで参加も難しいほどの盛況ぶり。

コスプレ容認の大会や、総延長が100kmに達するようなウルトラトレイルなど大会ごとの個性も豊かになり、ラン自体の楽しみ方も多様性の時代です。

ところが、今年こそレベルアップを目指したい!と日夜練習に励む市民ランナーを悩ませるのが、体の各部の痛み。

特にランナーには足裏の痛みを抱える人が少なくありません。

足裏の痛みを引き起こす原因には実は「扁平足」、「足底筋膜炎」などいくつか挙げられ、それぞれを見分けた上での対処が欠かせません。

効果的な対処法を身に着け、早期のケアを施しましょう。

痛みの場所で簡単チェック

同じ足裏の痛みといえど、指の付け根が痛むのとかかとが痛むのでは原因が異なります。

ランナーによく発生すると思われる痛みは、かかとの一番体重がかかる場所の「ズキン」とした痛みで、我慢して数歩走り続けると痛みが良くなっていくというものでしょう。これは「足底腱膜炎」とよばれるものです。

かかとのズキンとした痛み「足底腱膜炎」

足底にあって土踏まずのアーチを支えるバネの役割をしている足底腱膜は、足を踏み出すときに非常に重要な役割をしています。

体重が急に増加したり、オーバーワークで過剰な負荷がかかると、この足底腱膜にストレスが集中し、足底腱膜の付着部であるかかと部分に炎症を引き起こして痛みを発生させています。

足底腱膜炎の見分け方としては、上でも説明したような走り始めのかかとの痛みや、かかとの内側を押したとき鋭い痛みが走るといったものです。

足底腱膜炎があるまま長距離を走り続けると、痛みが持続するようになり、思うように走れなくなります。

対処法は、湿布や痛み止めを使用して、かかとを付けないように安静にすることです。

整形外科ではもっとも痛む部分だけを切り取った専用の中敷を作成し、靴に入れます。

この穴あき中敷でかかとに負担がかからないように過ごしつつ、足の裏を入念にマッサージするようにしましょう。

つま先立ちを繰り返す運動も有効です。

土踏まずがピリッと痛い「扁平足」

次にランナーに良く見られる足裏の痛みは、足を突くたびに土踏まずの周辺が痛むもので、アーチが崩れてしまうというものです。

これは「扁平足」の代表的な症状です。

先ほどの足底腱膜炎でも説明したとおり、足裏にはアーチがあり、これがバネの役割を果たすことで、走ったり跳ねたりする運動をサポートしています。

ところが、体重増加やオーバーワーク、筋力の低下でアーチを支えている筋肉が十分に機能しなくなると、アーチを形作る骨が落ち込んできて、内くるぶしの部分にピリッとした痛みが引き起こされます。

また、同じところに圧迫感や腫れを感じることがあります。

アーチがなくなると全て扁平足というわけではなく、とくにトレーニングを積んでいる人では筋肉が発達してアーチがわかりにくくなっていることもあります。

両足に均等に体重をかけて立ち上がったとき、アーチの頂点に位置する骨の高さを測りましょう。

3cm以下の場合、扁平足の可能性が高いといえます。

扁平足の対処では、靴にアーチを支えるようなインソールを入れることが効果的です。

また、アーチを支えている筋肉を鍛える運動を取り入れるといいでしょう。

足底が内側に向くように足首を回す「内返し運動」がこの筋肉を鍛えるために効果的です。

また、つま先立ちを繰り返したり、足指を足の甲の側に反らせたりといったアーチを高める運動も行いましょう。

一方、指の付け根付近に疼痛が現れることもあります。

これはオーバーワークによって引き起こされる「中足骨疲労骨折(行軍骨折)」の可能性があります。

指の付け根のズキズキした痛み「中足骨疲労骨折」

中足骨疲労骨折は第2指(人差し指)や第3指(中指)で起こりやすく、オーバーワークで起こる頻度が高いものです。

この骨折は回復がよく、発生してから1ヶ月もすれば痛みが取れて再び走れるようになります。

1ヶ月間は運動量を落として無理をしないように心がけましょう。

アーチがついたインソールを使うことで予防することができます。

足裏の痛みの予防は靴にあり

ここまで紹介してきたように、足裏の痛みにはさまざまな原因が考えられますが、一方でその多くに共通している点を見つけることができます。

それは、アーチを支える靴やインソールを使うことで予防につながるということです。

実際、ランニングにおいて足型に合った靴を選ぶことが非常に重要で、正しい靴を選ぶことがさまざまなケガの予防につながります。

とくに扁平足の傾向がある人は、我慢して走り続けると変形がさらに悪化し、外反母趾や膝の変形につながるおそれもあります。

このようなケガを避けるためにも、足型測定を活用することをオススメします。

足型測定(ASICS FOOT ID static)はアシックスの直営店などで実施されていて、足の長さはもちろん、足の幅、甲の高さ、アーチの高さなど3次元的な詳細なデータを測定することで、足の形に最適なランニングシューズを提案してくれるものです。

扁平足が気になっている人はもちろん、特に不調を感じていない人もランニング後の疲労感の軽減やタイムの短縮につながるともっぱらの評判です。

靴を新調する際には積極的に活用してみるといいでしょう。

(全国のアシックス直営店はこちらから確認)アシックス公式ホームページ

足型測定を利用しない場合には、より細心の注意を払って靴を選ぶ必要があります。

ランニングシューズ選びのポイント

〇なるべく午後に購入する

〇さまざまなサイズを試す

〇つま先に1㎝程度余裕のあるものを選ぶ

〇横幅はぴったりとフィットしたものを選ぶ

〇両足であいて歩く。片足立ちで履き心地をチェックする

〇土踏まずを支えるアーチがあり、位置や高さが自分に合ったものを選ぶ

(参考)アシックス『アスレチックシューズの選び方』

また、靴を変えず、インソール(中敷き)を専用のものに取り換えることでも対応ができます。

インソールは、縦のアーチに加え横のアーチもある、3次元的に設計されたものがいいでしょう。

ただし、足に合わない(アーチの位置が型と異なる等)インソールは足の変形を助長し、扁平足を悪化させかねません。

もし、インソールを使用中に足裏の痛みを感じたら、すぐにインソールの使用を中止しましょう。インソールを選ぶ際にも、前出の足型測定が大いに役立ちます。

同時に、5本指ソックスを使用することで足指の働きが良くなり、足裏の痛みの予防に役立ちます。

足裏のコリをほぐすグッズがあると便利

ランニングで疲労がたまったときを中心に、足裏をマッサージするグッズがあるとコンディションを管理するのに役立ちます。

自分の手を使って行ってもいいですし、テニスボールマッサージや昔ながら青竹踏みを活用してもいいでしょう。

あまり強い力をかけず、こり固まった筋肉をほぐす意識でやさしいマッサージを心掛けましょう。

テニスボールマッサージのやり方

テニスボールを踏みつけながら、土踏まずを中心に前後にボールをコロコロと転がします。

親指の根元にあるへこみにボールをあて、ぐっと体重をかけることで横アーチのマッサージにもなります。

運動後や風呂上りなど、時間があるときにこまめに行うようにしましょう。

ゴルフボールのような硬くて小さなボールは筋肉を痛めるおそれがあるのでオススメしません。

対策を行っても痛みが変わらなかったり、悪化していると感じる場合には、早めに整形外科を受診するようにしましょう。