温泉街の一角や駅前に設けられた無料の足湯。
見かけたら足を浸して一息つく、という人は多いかもしれません。
近年では足湯ブームともいえるほどの人気ぶりで、都心には足湯につかりながらドリンクも楽しめる「足湯カフェ」も登場。
楽しみ方の幅も広がっています。
そんな足湯、実はリラックス以外にも足を温めることで得られる多彩な健康効果が注目されています。
知れば自宅でも試したくなるその効果とは?
手軽に温浴効果が得られる足湯
足湯は足先だけをお湯に浸すことで温める部分浴のひとつです。
服を脱がずに利用することができるので、温泉街の街角や駅前などの屋外に休憩所・待合所として設置されていることをよく見かけます。
人気の秘訣は手軽にリラックスできること。
足首付近には太い血管が体の浅い部分を通っているため、実は、足を湯に浸すだけでも十分に体を温める効果が得られるのです。
全身浴と同じように、ぬるめのお湯にゆっくり浸かることで高いリラックス効果が得られます。
これは体を温めることで緊張が解けるためです。
就寝前に足湯をし、スムーズに深い眠りにつけるようになると次第に体のリズムも整ってくるでしょう。
手足の冷えや不眠などは、自律神経の乱れが原因とされることも多く、足湯のような手軽な温浴はとてもオススメです。
汗をかくトレーニングにも 夏バテ予防の効果が
一方、温度を高くすることで夏バテ予防にも応用できます。
足湯は全身浴よりも長く浸かることができるため、体力がない人でもしっかり汗をかくことができます。
汗腺は汗をかけばかくほど働きが良くなり、塩分濃度の低いさらさらした汗をかくことができるようになり、体温調整もしやすくなります。
本格的な厳しい暑さが来る前に、熱めの足湯で何度か汗をかくトレーニングを積んでおけば、運動で汗を流すことができなくても、汗腺の機能を維持しやすくなるというわけです。
年々暑くなり熱中症や夏バテのリスクが高まっている日本の夏を乗り切るのに役立ちそうです。
ここまでで紹介した足湯の効果
〇リラックスできる
〇寝つきが良くなる
〇血行が良くなる
〇サラサラの汗をかくトレーニングになる
手軽で体に優しい「足湯」
実は、足湯はもともと古くから医療施設や介護施設で使われてきた入浴方法でもあります。
体をすべて水に浸す入浴は湯船に入って出る動作のハードルが高く、入浴する人にとっても介助者にとっても大きな負担となります。
また水圧の影響を受けやすいため心肺機能の弱い人にとっては利用するのが難しいことがありました。
それに比べて足湯は服を脱ぐ必要もなく、椅子に腰かけながらお湯で満たしたバケツのような容器に足を浸すだけで手軽に入浴できます。
毎日入浴するのが難しい高齢者や、大きなケガをした人にこそ足湯は効果的なのです。
これまで入浴機会が減っていた高齢者が足湯を再開することで、転倒防止につながることも期待できます。
足先を温めることで関節の可動域が広まり、転倒しそうになった時に踏んばる力が発揮しやすくなるためです。
目的に合わせて温度と時間の調整を
足湯の効果は温度によって少しずつかわってきます。
40度以下のぬるめのお湯ではリラックス効果が高く、寝つきを浴したり手足の冷えをやわらげたりといった効能が期待できるでしょう。
一方、42度程度の熱めのお湯では汗をかきやすく、夏バテ予防の発汗トレーニングにはこちらが適しています。
ただ、温度が高くなるほど体にかかる負担は大きく、リラックス効果は薄れ、血圧の変化で心臓がどきどきしたり、立ち上がった時に立ちくらみが起きたりすることもあります。
無理がない範囲で10分から20分程度温まるのが、快適に楽しむコツです。
また、入浴時間が長くなると容量が小さい分、湯の温度も下がりやすくなっています。
途中で熱い湯をさし湯することで適温を保つこともできますが、足湯専用のバケツを使えば加熱機能もあり、ゆっくり楽しむことができます。
さらにお湯に入浴剤を溶かしたり、好みのアロマオイルを数滴たらすようなアレンジもオススメです。
着衣のままでも気軽にできるのが足湯の魅力。
外出先で見かけたときだけではなく、自宅でも試してみてはいかが?