【腰痛対策講座】立ち方を変えると腰痛が寄り付かない

腰痛の多くは普段の姿勢の悪さに起因していると考えられます。

今回は、立ち姿勢、そして寝姿勢について紹介します。

さすがにそこは大丈夫だろう、と侮ってはいけません。

腰痛に悩む人は、立つ姿勢さえ正しくできていないことが多いようです。

「座」・「立」・「寝」。

すべての姿勢をマスターすることができれば、頑固な腰痛もきっとよくなります。

立ち姿勢をチェックして、腰痛の危険度を確認しましょう

そもそも人間の骨格は、重心が前に傾きやすいようにできています。

背骨を大黒柱に例えるのなら、頭、胸郭、内臓など、体重の大部分は前の部分にあり、そのままでは前に倒れてしまうような構造です。

どうして、こんなにアンバランスなのでしょうか。

その理由は進化の過程を追うことでわかります。

もともと、4足歩行だったとき、背骨が一番上にあって、その下にすべてがぶら下がっている構造でした。

背骨はちょうど家の梁にあたり、安定した構造を保っています。

しかし、人間は直立2足歩行に進化します。

骨盤の形や背骨のS字カーブなど、直立に適応するために大きく変化した部分もありますが、基本的な骨格の配置は変わらず、背骨が体の一番外側のままなので、重心が前に傾くようになってしまったのです。

よく考えてみたら大黒柱の背骨が一番背面にあるのはアンバランスです。

前に傾く重心を、何とかして支えないといけません。

そのために、姿勢を制御するための主要な筋肉はほとんどが背中側に集中しています。

たとえば、僧帽筋、脊柱起立筋群、広背筋、ハムストリングス、ヒラメ筋といったようなものです。

姿勢を保つうえで欠かせないこれらの筋肉は、疲れやすい筋肉としても聞き覚えがあるはずです。

中でも、とくに脊柱起立筋群や広背筋に疲労がたまると、辛い腰痛の症状が慢性化してしまうというわけです。

(※姿勢が原因の腰痛についての説明です。他にも神経痛が原因のもの、ヘルニアが原因のものなどがあり、これらの痛みの原因は筋肉の疲労とは限りません。)

さて、腰痛の仕組みが分かったところで、あなたの姿勢はどうでしょうか?

壁に背をつけて立つだけで、様々な体のゆがみを確認することができます。

肩・お尻を壁につけて、あなたが思う「いい姿勢」で立ってみましょう。

このとき確認するのは次の3つのポイント。

腰に手を入れてみて、すっぽりと入るか

頭が壁についているか

足の裏のどこに体重がかかっているか

まず腰の負担の大きさがよくわかるのが、腰の反り具合です。

腰痛を持っている人には、圧倒的に反り腰の人が多い傾向があるといわれています。

腰に手を入れ、すっぽりと入るほどの隙間が空いているならば、腰が大きく反っていて、腰痛の危険度が高いといえるでしょう。

壁に頭が付かないという方は、首が前傾しています。

原因としてよく挙げられるのがスマホやパソコン。

夢中になって画面をのぞき込むうちに、ついつい頭が前に乗り出してしまうケースが多いのです。

よく歩きスマホをするという方は、首の後ろあたりが激しく凝っているのではないでしょうか。

それもそのはず。首が前に突き出ると、背中側の筋肉が引っ張られ、疲労がたまりやすくなります。

疲労は首だけにとどまらず、連鎖的に僧帽筋や脊柱起立筋群にまで波及して、肩こり、腰痛の危険度が上がってしまうのです。

最後のチェックポイントは足裏の体重。

かかとに全体重が乗っている人は、腰痛リスク大です。

というのも、この姿勢は体重が後ろに傾いてしまっている証拠。

背中側に過度に力が入っているため、筋肉の動きが悪くなっているのです。

腰への負担が少ない正しい立ち方

チェックした3つのポイントを、ひとつずつ解消していくことが正しい姿勢を手に入れることにつながります。

まず、反り気味だった腰を引っ込めましょう。

腹筋に力を入れて、頭の位置を変えずおへそを壁の方向へググッと持ち上げましょう。

こうすることで骨盤が正しい位置に収まり、反り腰が解消されます。

反り腰を予防するためには、普段から腹筋に力を入れることを意識することが重要です。

次に頭。

首を引いて、後頭部が軽く壁に触れるようにしましょう。

そのままあごを引いて、目線は5メートル先の地面へ。

胸を開くと息が通りやすく、比較的楽に続けられます。

最後に足裏の体重のかけ方。

前述したように、かかと側に偏ると背中側の筋肉の硬直につながってしまいます。

親指の付け根にある母指球を意識し、母指球6割、かかと4割で体重をかけるように改善しましょう。

全般的に、反り腰の人は、背中側の筋肉が過度に収縮してしまい、反対にお腹側の筋肉がうまく使えていません。

筋肉は表裏合わさって一組です。

表の筋肉が縮むとき、裏の筋肉は伸びることで体を動かしています。

腕の屈伸運動で触りながら確かめてみるとわかりやすいですね。

それと同じように、お腹側の筋肉がしっかり収縮しないと、背中側の筋肉は伸びてくれないのです。

ストレッチや筋トレを活用して、お腹側の筋肉を活性化していくことも重要です。

翌朝腰が痛くならない寝方とは

最後に腰痛に悩む方、腰痛を防止しようとする方にあった寝方をご紹介します。

腰痛がひどくなると、仰向けで寝ているのさえつらい、という声をよく耳にします。

これはマットレスにお尻がくい込み、S字カーブが失われた状態で腰が固定されてしまうのが原因です。

腰痛持ちに柔らかすぎるマットレスは禁物です。

腰痛にお困りの方は、まずは横向きで寝るように寝方を変えてみましょう。

痛む側を下にして、膝を軽く曲げて寝ると腰への負担が少なく、痛みを感じにくくなります。

横向きに慣れず、どうしても仰向けで寝たいという場合には、マットレスの上に硬めのマットレスシートを敷き、体が沈み込むのを防ぐと効果的です。

さらに膝の下にクッションを挟んで立てるようにすると腰が楽になります。

寝ている間にクッションがずれてしまう場合はマットレスの間に入れると固定されてずれにくくなります。

また、うつ伏せねは腰や首に負担がかかりやすく、かえって腕のしびれや他の病気に繋がってしまう可能性があるので避けたほうがいいでしょう。

加えて、今すぐ見直してほしいのが枕の高さです。

高すぎたり低すぎたりする枕を使っているケースがよく見られます。

横向き寝にしても仰向き寝にしても、背骨から首の骨が立っているときと同じようにまっすぐになる高さが適切です。

ちょうど良いものが見つからない場合は、大きめのタオルを畳んで自分に合う高さ調節をするとよいでしょう。