仕事の都合で1日の大半を座ってすごすという人も多いのではないでしょうか。
そしてそのうちの多くの人が悩まされることになるのが腰痛です。
しかし、だからといって座らずに仕事をするわけにもいかないのが苦しいところ。
みなさんは、どうやって腰痛の対策を行っていますか?
今回は、オフィスチェアーに取り付けるだけで疲れにくくなるという噂の腰痛クッションについてリポートします。
座る姿勢は疲れやすい?
座る姿勢というのは、実はものすごく体に負担がかかりやすい姿勢でもあるようです。
ナッケムソンという整形外科医の計測によると、座っているときには立っているときの1.4倍の圧力が腰にかかっているとされています。
しかも姿勢が崩れて前かがみになると、その圧力は1.85倍にまで大きくなってしまいます。

座姿勢が腰痛を引き起こしやすい要因はそれだけではありません。
椅子に座ると腰をあまり動かさなくなってしまうため、腰の筋肉がこわばりやすい状況になってしまいます。
動かさない時間が長く続くと筋力の低下をまねき、新たな腰痛を作りやすい状態になってしまうおそれも考えられます。
ずっと座りっぱなしでいることは、それだけで腰痛の原因になってしまうのです。
ちなみに、早稲田大学の岡浩一朗教授によると、日本人の平日の座位行動時間はなんと7時間(中央値)。
7時間というと平均睡眠時間とほとんど同じ時間なので、いかに長い時間座り続けているかがよくわかります。

腰痛クッションを1日使ってみた
1日8時間。
始業から就業まで座りっぱなしでパソコンを見つめている筆者は、日本人の中央値を突破!
いつからかずっと腰が痛くて仕方がありません。
原因はきっと、姿勢が悪くて背中が丸まってしまうこと。
治そうと思っていても数分たって気がついたら再び背筋が丸まっているので、腰痛もなかなか克服できませんでした。
どうしたら自然と背筋を伸ばし続けられるんだろうといろいろリサーチしていると……。
どうやら、背筋を後ろから矯正してくれる「背もたれクッション」が人気のようです。
背もたれに取り付けて、背骨のS字カーブをサポートしてくれるので、自然と姿勢が良くなっていくという評判ですが、果たして本当なのでしょうか?
ちょうどオフィスに【お医者さんの姿勢クッション】という腰痛クッションを使っている人がいたので、1日借りて、その使い心地を体験してみました。

これが噂の【お医者さんの姿勢クッション】。
ゴムバンドで固定する仕組みなので、背もたれが独立しているタイプのオフィスチェアなら、どんなものにも取り付けることができるはず。
腰を左右から包み込んで、実家のような安心感
使い方はとっても簡単。
【お医者さんの姿勢クッション】には、ゴム製のベルトがついているので、これを自分が使っているオフィスチェアーの背もたれに引っ掛けるだけです。
さっそく座ってみると、お!自分の椅子なのにちょっと新鮮な感じ。
普段は背もたれが後ろ過ぎて、背もたれとしてまったく機能していないような状態でしたが、厚みのある【お医者さんの姿勢クッション】が間に挟まったことで、おしりと腰が背もたれに包み込まれているような安定した感覚が得られます。
クッションにはちょうど背骨のラインに窓が切り取られているので、左右からがっちり背中・腰をサポートされているようです。
確かにこれは楽かも!
クッションの上部は緩やかなカーブがつけられているので、伸びをしたときに背中にフィットするのも気持ちよく感じます。
このクッション、背中が丸まってしまう人には効果薄かも……?
ところが、背中が丸まってしまうクセがある筆者にはそれほど大きな効果を発揮しなかったようです。
たしかに【お医者さんの姿勢クッション】に背中を預けると、背筋がS字カーブを描くようになるようですが、結構後ろに体重を傾けなくてはいけなくて、普段の姿勢が前よりな筆者には違和感が大きな感じ。
結局、気がついたらいつものように背もたれと背中が大きく離れて、背筋が丸まってしまいました。
気がついたら背筋が丸まってしまうという人は、意識的に背中を預けるようにしないとあまり姿勢が変わらないかもしれません……。
その一方、普段は腰が反って重心が後ろに傾きがちな人にとって、優しく背中を包み込んでくれる【お医者さんの姿勢クッション】はかなり満足できるのではないでしょうか。
腰痛クッション、背中に挟むか?お尻に敷くか?
腰痛クッションには、【お医者さんの姿勢クッション】に代表されるような、背中と背もたれの間に挟みこむタイプと、同じシリーズの【お医者さんの円座クッション】のような、お尻の下に敷くタイプの2種類があります。

左が【お医者さんの姿勢クッション】、右が【お医者さんの円座クッション】(※画像はAMAZONより引用)
筆者には背もたれに挟むタイプがしっくり来なかったように、人によってどちらの方がピッタリ合うかは変わってくるかと思われます。
じゃあどっちのタイプを選べば……?
という人は、まず座ったときの骨盤の角度を確認してみましょう。
腰痛を引き起こすような、悪い座り姿勢は猫背、スフィンクス座り、もぐりこみ座りなどいくつかありますが、その多くに共通しているのが、骨盤が後ろに倒れていること。
骨盤が倒れると背筋も曲がり、腰への負担が大きくなって、腰痛を引き起こしやすくなってしまいます。
リラックスして座ったとき、骨盤が無意識のうちに後ろに倒れていることに気がついた人は、骨盤を起こすようなクッションをお尻の下に挟んでみましょう!
座面が前下がりになるようにクッションを敷くことで骨盤が後ろに傾くことを防げます。
クッションを買う前に、バスタオルたたんだもので試してみて、自分に合うようだと感じたら実際の商品を買うようにすると後悔を減らせます。
このバスタオルクッションはなかなか便利で、背中に挟んで座り心地を確かめることで、背中タイプのクッションを選ぶときの目安にもなります。
ちなみに骨盤を起こして座るためには脚の筋肉が必要です
さてここまでの話を総合すると、骨盤が後ろに倒れやすい人は、骨盤をサポートするためにお尻に敷くクッションの方が有効、ということになりそう。
実際、座っても立っても猫背で、腰痛を抱えている人というのは、骨盤が常に後ろに倒れやすい傾向があるという話です。
なんでこんなに骨盤が倒れやすいのか?
この疑問を解決するヒントは骨盤を引っ張り起こしている筋肉にありました。
聞いたことがあるかもしれません。
腸腰筋という筋肉です。

腸腰筋というのは、大腰筋と腸骨筋をあわせた呼び方で、脚の骨と骨盤・背骨をつないで、脚を引き上げるときに大切な役割をしています。
ただ、座りっぱなしの時間が長い人は、この筋肉が衰えて硬くなり、うまく機能していないケースが目立ちます。
そうなると座ったときに骨盤が支えを失って後ろに倒れやすくなり、これまで見てきたような事態に陥ってしまうのです。
猫背を解消するために、腸腰筋に刺激を与えてうまく使える状態を維持しましょう。
ときどきでも構わないので、座っているとき、片脚ずつ脚を座面と平行になるまで持ち上げ、5秒キープしましょう。
もちろん意識するのは、腸腰筋。
股関節を使って脚を引っ張りあげている意識を持てばOKですよ。
筋トレしてばかりだと筋肉は硬くなってしまうので、ストレッチもときどきしてあげましょう。

ヨガのこのポーズが効果的。
股関節付近がよ~く伸びている感覚を大切にしましょう。
テニスボールを挟むという手も
他にも、座っているときの腰痛を撃退する方法をいくつか考えて実践してみました。
少し効果があると感じたのは、おしりの下にテニスボールを挟んでみること。
おしりが片側だけ浮くことで、腰が刺激されてモヤモヤが楽になりました。
それでもやっぱり一番効果があると感じたのは、実際に体を動かすことです。
足を組んで前屈してみたり、立ち上がって太ももの裏やおしりを伸ばしたりすると、かなり腰のモヤモヤが楽になります。
また、『腰痛これだけ体操』という体操もオススメ。
人目につく場所でも、時間がなくてもできるので、活躍の場が多そうです。

1日中オフィスワークが続いて、腰が痛くて仕方がないという人は、ぜひトイレに立ったときなどに、ストレッチをしてみてください。
姿勢を変えるのは難しくても、おしりや腰の筋肉を小まめに動かすことで、腰痛予防につながります。