皆さんは「肩こり」や「筋肉痛」になったことはありますか?
ほとんどの人は両方の症状の経験があることだと思います。
ズーンとした重い感覚が特徴の「肩こり」、ギシギシと体が動きにくいのが特徴の「筋肉痛」。
両者は似ているようにも、まったく異なるようにも感じます。
そもそも「肩こり」は運動不足気味のときに、「筋肉痛」は急に激しく運動したあとに現れる症状です。
それでは全く異なるものなのでしょうか?
その真実に迫ります。
肩こりと筋肉痛って違うもの?
薬局で市販されている湿布薬、たとえば『サロンパス』の効能欄には「肩こり、腰痛、筋肉痛、筋肉疲労、…」と肩こりと筋肉痛が分けて書かれています。
ということは、「肩こり」と「筋肉痛」は違うもの…?
でも「筋肉痛」と「筋肉疲労」は分けられているけど同じようなものの気がするし…。
このような疑問が生じるのは、想像している定義の範囲が違うからです。
狭い意味での「肩こり」「筋肉痛」「筋肉疲労」ではそれぞれが定義している症状は重なりません。
しかし、専門家でない私たちが一般的な意味でいうときの「肩こり」「筋肉痛」「筋肉疲労」は重なり合う部分が大きく、ほとんど同じ意味になってしまうのです。
では「肩こり」と「筋肉痛」はどのようなものなのでしょうか。
〇肩こり
肩こりは、後頭部から肩甲骨周辺にかけて筋肉の緊張が原因の違和感や痛みを伴う症状です。
長時間のデスクワークや運転などで、肩を構成する僧帽筋などの筋肉に負担をかけ続けられることで疲労して、過度に緊張した状態に陥ります。
このように、筋肉の緊張や疲労が違和感や痛みを感じさせる原因になっていることが多いようです。
〇筋肉痛(遅発性筋痛)
筋肉痛は詳しいメカニズムはまだ良くわかっていませんが、負荷を受けて損傷した筋繊維が回復するときに感じる痛みだと考えられています。
普段使わない筋肉を使うと、筋肉を構成している細かい筋繊維が傷つきます。
傷ついた筋繊維はしばらく時間が経過した後、太く強化されて回復されるのですが、このときに炎症が発生します。
筋繊維には痛みを感じる機能がありません。
筋繊維の修復が始まり、炎症に伴う痛み成分が筋肉を覆っている筋膜にまで達することで痛みを感じるようになるため、運動後しばらく時間が経ってから症状が現れると考えられています。
(参考:第一三共ヘルスケアHP)
よくマッサージや整体院でいわれている「揉み返し」は一般的には「筋肉痛」のことだと考えられます。
強く揉まれた部分の筋肉は、運動をしたときと同じように損傷を受けています。
この損傷による一時的なハリの痛みが「揉み返し」として現れているのです。
このように細かく見てみると「肩こり」と「筋肉痛」は異なるものだということがわかります。
しかし、実は単に筋肉痛という場合には、高熱が出たときに体が痛くなる症状やこむら返り、肉離れなどの症状も含まれます。
このように広い意味での筋肉痛で考えた場合には「肩こり」も含まれると考えるのが妥当でしょう。
海外の多くの国には「肩こり」に相当する言葉がないといわれています。
肩のコリや「筋肉痛」のハリなどすべてをひっくるめて筋肉の疲労だと定義しているのです。
「肩こり」と「筋肉痛」どう対処すればいいの?
同じようで微妙に違う「肩こり」と「筋肉痛」。
その対処方法も同じようで微妙に異なります。
「肩こり」も「筋肉痛」も筋肉疲労を和らげてあげることが改善につながります。
入浴で体を温めたり、軽い整理運動で血行をよくしてあげることで新陳代謝が促され、コリやハリの症状が緩和されます。
ただし「筋肉痛」のときは気を付けましょう。
ハリが出ているいる場所が熱を持っている間は、炎症反応が見られます。
温めると痛みが増してしまうことがあり逆効果です。
熱が引くまでは冷やしましょう。
どうしても痛みの症状が気になるときはどちらも湿布薬が有効です。
湿布薬には痛みを抑える有効成分が含まれています。
「肩こり」も「筋肉痛」も筋肉に痛みの元となる物質がたまって引き起こされているようです。
痛みを引き起こす物質をブロックすることで、違和感や痛みの症状が改善されます。
筋肉痛は「乳酸」は間違いだった
よく似ているようで、「肩こり」と「筋肉痛」は微妙に異なります。
どちらも詳しいことがわかるようになってきたのはごく最近のことですし、海外では古くから区別なく筋肉疲労と認識されていました。
「筋肉痛」はかつては乳酸の蓄積が痛みの原因だと考えられていましたが、今ではそれは否定されています。
乳酸はエネルギーとして使われ、数秒から数分の間の短い時間で消費され、筋肉から排出されてしまうことがわかってきたためです。
どうように、乳酸によって肩こりが引き起こされるという説も間違いであると考えられます。
このような事実の更新で、実は両者は全く同じものだったといわれる日が来るかもしれません。
そのときには「肩こり」や「筋肉痛」の治療も、もっと進んでいるといいですね。