子供は肩こりとは無縁、という時代ももはや今は昔。
最近では環境や生活習慣が大きく変化して、肩や首の悩みを抱えている子供も多いといいます。
勉強への意欲低下や運動能力の伸び悩みにも影響しかねない姿勢や筋肉のトラブル。
子供たちの間にいったい何が起こっているのでしょうか。
子育てに不安を抱える親御さん必見です。
現代っ子の肩こりが心配だ
あっちこっちをチョコチョコと動きまわり、常に体を動かしていた子供たち。
首をきょろきょろ、腕をグルグル。
なにかを見つけたら一目散にかけだして運動不足なんてどこ吹く風、多少姿勢が悪くても子供たちは肩こりとほとんど無縁でした。
ところが最近はちょっと事情が違うようです。
ショッピングモールや電車で見かける子供たちはみんなゲームに夢中。
背中を丸めて一心不乱に操作にのめりこんでいます。
ゲームだけではありません。
受験戦争が激化する中、小学校のうちから夜遅くまで塾に通うことも珍しくはありません。
子供は大人に比べて筋力が弱く頭の比率も大きいため、同じ姿勢を長く続けるのが困難です。
ゲームや勉強に夢中になるうちにどんどん姿勢が悪い方向へ崩れていってしまいます。
長時間うつむいてゲームや勉強を続けていては、首や肩への負担は避けられません。
眼精疲労やストレスの増加も考えられます。
現代の子供は、20年前の子供に比べてずいぶん肩こりを患いやすい環境に置かれているのです。
発達途上の子供の体。影響は予想以上に深刻かも
たかが肩こりと侮るなかれ。
成長途上の子供にとって、肩こりは重大な問題になりえます。
なかでも集中力の低下や運動能力の伸び悩みは将来にまで影響を与える重大な問題。
考えられる影響を具合的に見ていきましょう。
1.学習意欲や集中力の低下
大人だって同じことですが、肩の痛みや肩こりに伴う頭痛が気になると集中力が続かなくなります。
肩こりが悪化するとじっと座っていられない、ボーっとして授業の内容が頭に入ってこない、といった症状が現れます。
なるべく長時間しっかり勉強して、いい成績を修めてほしいのが親心。
しかし本当に効率よく学習してほしいと望むなら、肩こりを撃退し、短時間でも集中して授業に臨ませるべきなのです。
2.運動能力に影響
肩こりが悪化すれば筋肉が拘縮し、肩甲骨の可動域が狭まります。
肩甲骨は腕を使ったあらゆる運動の礎です。
センスを磨ける大切な時期に体の動きが制限されてしまっては、後々の上達具合にも大きな差が出る可能性があります。
子供に後悔させたくなければ、まずは肩こりを治し、体の柔軟性を取り戻すところから始めるべきでしょう。
3.視力の低下
肩こりが先か、姿勢が悪いのが先か、という問題には議論がありますが、肩こりに悩む子供は概して姿勢が悪いもの。
机と目の距離が近い、ゲーム画面と目の距離が近いという状況が長時間続けば、仮性近視のリスクが高まります。
見づらくなれば、外眼筋や表情筋もひきつってさらなるこりの原因になる悪循環に。
4.睡眠の質が低下
肩こりなどの筋肉の拘縮は睡眠をも妨害します。
子供にとって睡眠は成長の要。
毎日しっかり質の高い睡眠をとることが健やかな成長に必要不可欠です。
つねに緊張状態で睡眠不足に陥れば、イライラして人やモノにあたったり、感情の制御ができなくなったり、情緒面でも影響が現れます。
体が柔らかい子供のうちに対策を
肩こりが子供に与える影響は想像以上に重大だということがわかっていただけたでしょうか。
何度注意しても集中力が続かない、いつもイライラして手に負えないというお子さんも、もしかしたら肩こりに原因の一端があるのかもしれません。
しかりつける前に体の状態を確かめてみると意外な発見があるかもしれません。
お子さんの姿勢が悪くなっていませんか?
立ち上がったとき、首が曲がっていませんか?
しきりに肩を回したり首を傾けたり、肩がこったような行動をとっていませんか?
肩こりが原因だとわかった以上ほかの病気と同じように、親子で協力して原因をなんとかするのが先決です。
幸いにも子供の筋肉は柔らかく、習慣づければおとなよりずっと楽に改善が見込めます。
1.正しい姿勢を意識させる
肩こりを予防する上でなにより大切なのは、正しい姿勢です。
猫背や骨盤の傾きは体に負担を与えます。
高さの合わない机や椅子は悪姿勢を招きます。
小学校入学時に買った学習机。高さが合っているかもう一度見直してみましょう。
2.ゲームの時間を見直す
ちょこまか動く子供の習性をいともたやすく封印してしまうゲーム機。
普段まったく集中力のない子でも、ゲームを前にすると何時間でも続けてしまいます。
悪姿勢や眼精疲労を引き起こすゲームは、遊ぶ時間を決めるべきかもしれません。
ゲーム依存を脱却するのは難しいことですが、時間割りを書かせていかに自分が長時間ゲームをしているのかを自覚させるのが効果的。
最近ではゲーム依存、ネット依存専門の外来もあります。
困ったら相談してみるのもいいかもしれません。
3.体を動かす習慣をつける
現代っ子は運動不足。
それが肩こりの大きな原因のひとつになっています。
週末は家族で外に出かけて、体を動かす楽しさを知ってもらうことが効果的。
ラジオ体操ほどの軽い運動でもいいでしょう。
少しずつ体を動かす習慣を身につけさせましょう。
4.ストレッチや整体を利用する
最近ではストレッチジムや整体院に通う子供が増加中なんだとか。
こういう施設を使うのも選択肢のひとつです。
子供だって肩がこる
子供は自分自身で肩こりの症状を訴えることが少ないので子供の肩こりは見落とされがち。
確かに子供の体は大人より柔らかいですが、こらない筋肉はないのです。
子供にも大人と同じような対処法が必要です。
お子さんの将来のためにも、今一度正面からお子さんと対話してみては?