明かりを調節してスムーズな睡眠をサポート

最近では「睡眠負債」がいろいろなメディアでも話題になり、睡眠というものの大切さが再認識されつつあります。

実際に体で感じている疲れの多くも脳の疲れが影響しているという報告もあり、ただ横になって体を休めるよりも、しっかりと眠りに落ちて脳を休ませてあげることが必要なようです。

ところが実際に早い時間から布団に入ってもすぐに眠れるものではありません。

なかなか眠気がやってこないので、本を読んでみたり、スマホをいじってみたりとついつい夜更かししてしまうことも。

原因は寝具?それとも寝室の明るさ?

実は寝室に入ってしまってからではすでに手遅れかもしれません。

なかなか寝付けない本当の原因の一つは、リビングの明るさにあるかもしれません。

寝る1、2時間前の明るさが大切

寝る前に明るい部屋で過ごすことで、目が覚めてしまうことは良く知られています。

厚生労働省の『健康づくりのための睡眠指針2014』によると、ある程度以上の明るい光が目から入ると、自律神経の中枢を刺激して目を覚まさせてしまうため、就寝前に明るい光の下で数十分過ごすだけでも睡眠が妨げられてしまうとしています。

私たちの体内時計はさまざまなホルモンによって調整されていますが、そのリズムの一つを決めるのに重要な役割をしているのが睡眠ホルモンとも呼ばれている「メラトニン」です。

メラトニンは日中はほとんど分泌されませんが、午後6時あたりから徐々に増加し、眠気を感じるようになります。

ところが、強い光を浴びるとメラトニンの分泌が抑制されてしまい、その後なかなか寝付くことができなくなってしまうのです。

(参照:日本時間生物学会『光とメラトニン抑制』)

ろうそく1本程の明るさを1ルクスといいますが、一般的なリビングの明るさは500~700ルクス。(コンビニ店内はなんと1000ルクス以上!)

これは、十分メラトニンを抑制してしまうほどの明るさだといえます。

明るさを下げ、間接照明に

大切なのは寝る直前よりも、寝る1~2時間前の部屋の明るさです。

この時間帯には寝室ではなくリビングにいるという方は、リビングの明るさに気をつける必要があるのです。

快適な睡眠を妨げないために、夜間はリビングの照明の明るさを抑えましょう。

直接照明よりも間接照明にした方が、目に直接入る光の量を抑えることができます。

また白色光よりも、黄色がかった暖色系の光の方が刺激を抑えることができます。

その他の工夫

●睡眠が最も深くなるのは寝始めの3時間。一度寝始めたらしばらくは起きなくてもいいように、照明のつけっぱなしやうたた寝はやめましょう。

●寝酒は入眠を促しますがその後の眠りを浅くします。なるべく控えましょう。

テレビ・スマホを使うときも光の工夫を

テレビやスマホを使うときには、周りの環境との明るさのコントラストが大きくなり過ぎないように注意しましょう。

たとえば真っ暗な部屋の中にある明るいテレビの画面など、明るさのコントラストが高いと目にかかる負担が増加してしまいます。

テレビやスマホの画面の明るさは少し抑え、反対にその周囲にある環境は間接照明で少し明るくして、画面と背景の明るさが緩やかなグラデーションになるようにしましょう。

ただし直接照明で照らしてしまうと、画面で反射した光が目に入ってしまうので注意が必要です。

光をうまく使って体内時計を整えましょう

さきほどの『健康づくりのための睡眠指針2014』によると、2日間就寝時間が1時間30分送れると体内時計が45分遅れてしまうとしています。

寝床に入ってもなかなか寝付けずにすごしてしまうような生活が続くと、体内時計の遅れからスムーズな睡眠が取れないばかりか、日中の眠気や疲労にまでつながってしまいます。

就寝前の部屋の明るさに気をつけ、眠りを妨げないように心がけましょう。

また起床後は朝日を浴びることで、今度は自律神経の中枢に働きかけて体内時計のズレをリセットすることができます。

たとえ曇っていたとしても、外の明るさは1000ルクス以上あるためその効果は絶大です。

私たちの体は「光」によって大きな影響を受けています。

光を味方につけて、元気な毎日を過ごせる要になったら素敵だと思いませんか?