最近は山好きの方もだいぶ増えてきて、奥地の山でもにぎやかになりました。
森林浴、適度な運動、爽快感と達成感……。
体の健康にも心の健康にもいい山登りですが、長い時間重たいリュックを背負って移動するため、肩こりになりやすい趣味でもあります。
肩や首が痛くなると、せっかくの絶景も心の底から楽しめません。
でも、そんなのもったいない!
私が実践している肩こりにならない登山スタイルを大公開しちゃいます!
効果のほどは私自身で検証済み。
是非山登りの際の参考になさってください。
意外と知らないリュックの正しい使い方
登山中の肩こりといえば、皆さん真っ先に気にするのがリュックサックですね。
リュックさえなければ登山中に肩こりになんてなりません。
ほとんど荷物を背負わないトレランスタイルなら肩こりとは無縁かもしれませんが、山飯を楽しんだり縦走しようと思ったら重たいリュックを持ってこないわけにはいきません。
では、どうすればいいのでしょうか。
なるべく肩に負担がかからない背負い方を身につけましょう。
実は、パッキングの方法と背負い方を工夫すれば、肩にかかるリュックの重みはかなり軽減することができるのです。
〇荷物の入れ方
当たり前のことですが、荷物が軽ければ軽いほど肩にかかる負担も減ります。
山には余計なものは持って行かない。これが鉄則です。
遭難のリスクを考えると食料や水を切り詰めるのはあまりオススメできませんが、少なくとも余計な着替えはなるべく持っていかないようにするべきです。
それぞれの装備が本当に必要か、もう一度確認してからパッキングしましょう。
パッキングの基本は『軽い物から重い物へ』という順番が大切です。
リュックの底は着替えやタオル、寝袋などの軽くてあまり使わないもの。
クッカーのような大休止にならないと使わない軽めのグッズも一番底がいいですね。
上段にはカメラやペットボトルなどの重たいものと、雨具など必要な時にすぐに使いたいものを入れましょう。
テントのような重たいものはなるべく背中に近い位置に入れておくと荷物がぶれにくく疲れにくいですよ。
最近の装備は収納時に円筒状にパッキングできるようになっています。
円筒を積み重ねる感覚で、隙間なく詰め込んでいくのが荷崩れを防止するコツです。
〇アジャストのやり方
パッキングが済んだらいよいよリュックサックを背負うわけですが、意外と見落としがちなのがストラップのアジャストの方法。
脇の下のアジャストだけで済ませていませんか?
それではすぐに疲れてしまいます。
最近の機能的なリュックには
①ヒップストラップ
②ショルダーストラップ
③チェストストラップ
④ロードリフトストラップ
の4つのアジャスト機能がついています。
4つともしっかりアジャストすることで、本来の性能を発揮することができるのです。
アジャストする順番とやり方を詳しく見ていきましょう。
①ヒップストラップ
お尻と腰を包み込んでいる幅の太いベルトです。
ショルダーベルトに肩を通したら、リュック本体を骨盤の上に乗せて、まずはここから締めます。
キュッとストラップを引っ張って、リュックの底を腰にしっかりひきつけましょう。
この時点では肩回りがガバガバでも構いません。
②ショルダーストラップ
おそらく皆さんが一番よく使っている脇の下にあるストラップです。
腰に引き付けた後は、ここを引っ張ってリュック全体を背中に引き付けます。
③チェストストラップ
ショルダーベルトの上の方にある小さいストラップです。
ここを引っ張ってリュックの上部を肩に引き付けると、一気に密着率が高まり楽になります。
慣れるまではなかなか引っ張りづらいストラップですが、鏡を見ながら練習しましょう。
忘れずに締めることが何より大切です。
④ロードリフトストラップ
胸の前にあるショルダーベルト同士を結んでいるストラップです。
最後の仕上げにここを締め、リュックがずれないように固定しましょう。
どうですか?
4つのストラップを確実に締めると、同じ重さなのに急に楽になったように感じませんか?
これがリュック本来の性能なのです。
登山中はときどき動きを変えて!
リュックの次は歩き方。
同じ歩き方を延々続けるのではなく、疲れがたまってきたと感じたら歩き方を変えると楽になります。
肩は同じ動きを続けていると疲労がたまってしまうようです。
ずっとデスクワークしていると肩が疲れてしまうのと同じですね。
岩場の通過など動きに変化が出るときは、比較的体の疲れが気になりません。
小まめに動きを変えることで使う筋肉が分散して、蓄積される疲労が軽減されるためでしょうか。
トレッキングポール→腕組み→腕ぶらぶら、とローテーションを組んで肩を飽きさせない工夫をしてみましょう。
〇トレッキングポール
足を疲れさせないという意味合いが強いトレッキングポールですが、肩の動きも大きくなるため肩こり防止に役立ちます。
歩幅よりもやや広め、足の着地地点と同じ場所かやや後ろ寄りにポールをついて、体の後ろでポールを押して推進力を得ます。
ちょっと疲れたと感じたら、ポールを使ってストレッチすることもできます。
〇腕組み
昔の歩荷の写真(もちろん白黒写真)を見てみると、みんな腕を組んでいます。
今でもときどきベテラン登山者が腕組みをしているのを目にしますが、実は腕組みには軸を中心に寄せて体を安定させる効果があるのです。
さらに腕組みすることで肩にかかる腕の重さが減り、肩こりも予防することができます。
〇腕をぶらぶら
たまには何も持たず、腕をぶらぶらしながら歩きましょう。
肩の力を抜いて自由に動かすことで疲れた肩もスッキリしますよ。
肩こり知らずの楽しい山行を!
リュックの使い方を中心に、肩こりにならないために気を付けたいポイントをいくつか挙げてみました。
山登りはまだ見ぬ景色に出会う興奮、登り切った達成感が得られるすばらしい体験です。
山の趣は刻一刻と変わり、一度として同じ表情を見せることはありません。
ケガや遭難に気を付けて、豊かな自然が見せる四季折々の表情を楽しみましょう!