平均寿命の地域差は拡大している

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【健康コラム】平均寿命や健康には地域差がある?

2017年、平均寿命の都道府県格差は2015年までの25年間で拡大したという研究結果がまとめられ話題になりました。1990年には2.5歳だった首位と最下位の差が、2015年には3.1歳になっていたのです。

 
平均寿命だけではなく、自立した生活が送れる期間を指す健康寿命も同様に都道府県間で格差が広がっています。一体どういうことなのでしょうか。

平均寿命の地域差は拡大している

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東京大学や米ワシントン大学などが共同で行った研究では、国のデータなどを使って分析したところ、1990年から2015年までの25年間で日本の平均寿命や健康寿命は全体では上昇していた一方、都道府県ごとに見ると“長寿県”と“短命県”の格差が拡大していたことがわかりました。

 
具体的には、1990年には最も寿命が長かった長野県(80.2歳)と最も短かった青森県(77.7歳)の差は2.5歳だったのに対し、2015年には最長の滋賀県(84.7歳)と最短の青森県(81.6歳)の差は3.1歳と大きくなっていました。

 
また、“長寿県”と“短命県”はそれぞれ固定化されている傾向があり、2015年のトップ3である滋賀県・福井県・長野県は1990年にもそれぞれトップ3に入っていた一方、どちらの調査年でもワーストは青森県という結果でした。

 
健康で過ごすことができる期間を指す健康寿命でも、1990年の2.3歳差(長野県・青森県間)から2.7歳差(滋賀県・青森県間)へと拡大していて、都道府県ごとに健康格差があることが浮き彫りになっています。


病気を引き起こす要因に地域差はない?


病気になる要因は、2015年で見ると食習慣や喫煙習慣といった生活習慣に関するものがもっとも多く、その次に高血圧や高コレステロールなどのいわゆるメタボリック症候群に関するものが続きました。

 
特に“喫煙習慣”と“不健康な食事”は病気の2大要因で、喫煙は男性の死亡の 18.9% に、不健康な食事は女性の 18.0% に関係していました。

 
では、“喫煙習慣”や“不健康な食事”のような生活習慣の地域差が、都道府県間の健康格差を生み出しているのでしょうか。実は、そうではないようなのです。

 
厚生労働省が行っている「国民健康・栄養調査」では、都道府県ごとに食塩摂取量の平均や喫煙者の割合といった健康指標を発表しています。それによると、“長寿県”である長野県の食塩摂取量は男女とも“短命県”の青森県よりも多く、男女とも全国のワースト3に入っていました。また、喫煙者の割合では、“長寿県”の福井県が青森県よりも高く、全国のワースト2でした。

 
つまり、生活習慣や喫煙習慣のような健康リスクと、都道府県間の健康格差の間には明らかな関係性が見当たらなかったのです。この結果から、東京大学の発表では「既知のリスク以外に、健康格差を生じうる要因が存在していることが示唆される」としてさらに研究を進める必要があるという考えを示しています。


健康長寿を達成するのに必要な要素は?


健康格差を生んでいる要因を明らかにするにはもう少し時間がかかりそうですが、健康長寿を実現するために必要なことは少しずつ明らかにされつつあります。

 
それが「よく食べ」「よく動き」「よくしゃべる」こと。

 
「よく食べ」というのは言葉通りいろいろなものをたくさん食べることです。特に大事なポイントは肉でも魚でも、たんぱく質をたくさん食べること。高齢になると粗食の方が健康的だと思っている人が多く居ますが、実はそれは間違い。歳を摂ればとるほどたんぱく質を体に取り込む効率が落ちてしまうので、むしろ高齢者のたんぱく質の目標摂取量は高く設定されています。

 
「よく動き」というと1日何歩歩いたかを気にする人が多いかもしれませんが、どちらかといえば筋力トレーニングになる運動をした方が健康長寿にはいい影響を及ぼします。高齢者が要介護になる(=健康寿命が終わる)要因は上から順に、脳卒中・認知症・衰弱の順。ただし衰弱、骨折、関節障害をロコモとして合計すると、とたんにロコモが第1位に躍り出ます。ロコモを防ぐには、持久走的な運動だけでは不十分で、瞬発力を高める筋トレも欠かせません。ですから1日の歩数よりも、筋トレの目標を設定した方が望ましいといえます。

 
そして一番大切なのが「よくしゃべる」ことです。意外に思われる人も多いかもしれませんが、身体的な衰弱が来るよりも先に、心理的・社会的な衰弱がやってきます。しゃべって口を動かすことが食べ物をたべる力を維持しますし、心を動かすことが認知症を予防します。つまり、人との交流がさまざまな健康リスクを下げてくれるのです。

 
本来、これらの要因には地域差はないはずです。海無県の長野県が安定した“長寿県”なことが魚介類の豊富さが寿命に関係していないことを示しており、「よく食べる」のたんぱく質は別に魚でなくてもいいということです。むしろ長野県で特筆すべきなのは全国有数の農家率の高さ(全国2位)で、農作業の多さから足腰が頑強な人が多いといわれていること。そして全国でもダントツで公民館数が多く(2位の新潟の2倍以上)、住民同士の交流が盛んであることです。健康長寿の実現には、毎日の過ごし方がちょうじゅうようだということですね。


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