長引く痛みとの付き合い方

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長引く痛みとの付き合い方

痛みという感覚は不快なものには違いありません。しかし同時に、ないと困るものでもあります。痛みをまったく感じなければ、ケガや病気に気づかず治療が遅れてしまいますし、体を傷つけることを危険だと思わなくなってしまうおそれもあります。痛覚は私たちの身を守るための警報として働いているのです。

 
とはいえ、見た目の上ではもうケガが治っているのに長引いてしまう痛みもあります。このような痛みは警報としてはもう働いていないので、生活をする上では必要ありません。そしてこのような痛みが長引くととてもつらいものです。

 
整体院や鍼灸院を利用する方の中には、このような慢性痛に悩まされ続けているという人が多いかもしれませんね。今回は、長引く痛みとどのように付き合っていけば良いのかを考えてみましょう。

痛みへの恐怖がさらなる痛みを呼ぶ


痛みが続いている原因として理解しやすいのは、痛みを引き起こすきっかけとなっているケガや病気が長引いていることです。しかし、痛みを引き起こす原因はそれだけではありません。痛みに対する強い恐怖心やこだわりなどの感情も、痛みを強くしてしまうことがわかってきています。

 
例えば身体に痛みを感じたときに、それをあまり気に留めず、楽しいことに熱中して活動していると徐々に痛みが軽くなったというのは誰しも経験していることでしょう。反対に、痛みを過剰に怖がって四六時中悩んでしまうような状況に陥ると、気分や身体の状態まで痛みに左右されてどんどん悪い方向へ進んでいってしまいます。

 
このように、ネガティブな感情の強弱が痛みの回復度合いに影響を与えてしまう関係を『恐怖-回避モデル』といいます。憂うつな感情が先に立ってしまうと、悪循環に陥って痛みが長引いてしまうのです。

 
痛みの悪循環から脱出するには、ある意味で痛みを受け入れることが大切です。恐怖感が強すぎると痛みを遠くに追いやろうとやっきになって、今自分が置かれている状態から目を逸らしがちです。そうではなく、自分の状態を整理してこれからどうなるのかに思いをめぐらせるようにすることです。このとき、これから起こることが自分にとってプラスに働くという意識を持つことが重要です。このようにポジティブに自分を見つめられる人は、痛みに対して強い傾向があることが分かっています。


ゼロか100かという考え方から抜け出す


ケガや病気が治った後も痛みが続いている場合、リハビリをして痛みと付き合っていくことになります。慢性腰痛や変形性膝関節症のような運動器の痛みの場合、身体を動かすことで痛みが和らぐことが分かっています。

 
しかし、このリハビリというのは面倒です。確かに、活動的な人ほど痛みが減るという実感は誰しも持っているものですが、いざリハビリに取り組もうとすれば、痛みの出口がなかなか見出せません。しかも、運動後の疲労感がとても強く、トータルとして痛みがあっても変わらないのではないかと考えてしまいがちです。

 
とくに長引く痛みと真剣に向き合おうとしているほど、リハビリに真面目に取り組んで疲労を感じやすいようです。日本人は国民性からか、リハビリをするならとことんやるか、それともやらないか、という『ゼロか100か』の発想が強い傾向があることも影響しているのでしょうか。

 
ところが、リハビリではこのような発想は捨て去るべきです。最初は本当に効果があるのか疑わしいほど軽い運動からでも構いませんし、つらいと感じるのなら軽い休憩を取りながらゆっくり、そしてリズミカルに続けていくことが大切です。

 
リハビリの量を増やしていくのはだんだん慣れてきてつらさを感じなくなってからでも十分です。とにかく、ゼロだったものを10でも20でも増やして、できることから始めてみましょう。

 
なぜ軽くてもいいのかといえば、運動で改善が認められたという報告はあっても、安静で改善があったという確証に乏しいからです。腰痛症に対して、4日以上の安静はその後の機能障害を残しやすいということも言われています。つまり、まったく動かないということを避けることが重要だということです。

 
運動では動かした場所だけではなく、全身の鎮痛に働くことが分かっています。ですから、できないと感じているのであれば痛いところを動かす必要はなく、元気に動かせる場所を動かすだけで十分です。まずは簡単にできる方法を始めることが緩和への第一歩です。


自分の痛みの“リアル”に向きあう


痛みの程度は機械では測れません。そして残念なことに、関わる要素が多すぎて、これを改善すれば痛みが治る、ということははっきり結論付けることができません。

 
ですから、病気に自分を当てはめようとするのではなく、その病気を持った自分自身がどんな状態なのかを考えることが大切です。まずは自分の痛みとじっくり向き合ってこれからどうしたいのかに思いをめぐらせて見てください。ひょっとしたら解決への意外な道筋が見つかるかもしれません。


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