水虫をうつされないために必要なこと
感染している人がたくさんいるのは知っているし、家族に感染者がいることもあるけれど、「自分にうつるのだけは絶対にイヤ!」
とくにうつされたくない感染症の一つが水虫なのではないでしょうか。
カビの一種である白癬菌が活発になるのは、高温多湿になる梅雨から夏にかけての季節。
うつされないために気を付けたいポイントをまとめました。
(参考)日本皮膚科学会『皮膚科Q&A』
水虫を引き起こす白癬菌は「ムシムシ・ジメジメ」が大好物
水虫を引き起こしているのはある種のカビ(真菌)の仲間で、総称して「白癬菌」と呼ばれています。
現在、日本人の5人に1人が足の水虫に感染しているとされ、非常にありふれた感染症だといえるでしょう。
白癬菌はカビの一種なので、お風呂の黒カビと同じように高温多湿の環境を好み、日本では梅雨から夏にかけて症状が現れる人が増加し、乾燥して気温が低くなる冬には減少します。
このことからもわかるように、水虫の感染を防ぐ一番のポイントは、足を高温多湿の環境にさらし続けないことなのです。
靴下を履く時間はなるべく短く
日本人の5人に1人は水虫にかかっているような状況なので、プールや銭湯・温泉、スポーツジムなどの不特定多数の人が裸足で過ごす場所には、ほとんど100%白癬菌が落ちているといっても過言ではありません。
このような場所で、私たちは知らず知らずのうちに白癬菌を踏み、足に付着させています。
しかし、だからと言って必ずしも水虫にかかるというわけではありません。
白癬菌が定着し、感染してしまうまでには早くとも24時間程度、傷があり感染しやすい状況であっても12時間程度の時間が必要だといわれています。
そのため、公共の場で白癬菌を足につけてしまっても、半日以内に足をせっけんで洗い、白癬菌を洗い流すことで感染を防ぐことができるのです。
白癬菌は高温多湿の環境で活発に活動するので、銭湯や温泉では足をよく乾かしてから靴下を履いたり、サンダルなどの風通しの良い履物を使ったりといった対策も水虫の予防に効果的です。
逆に、自宅に帰ってから靴下も変えずに就寝してしまうと水虫にかかる可能性を非常に高くしてしまいます。
帰宅したらまず足を洗い、靴下を履かないようにすることが最も効果的な予防法です。
幸いにも家族内に水虫にかかっている人が居なければ、このように外から自宅に白癬菌を持ち込まないようにすることで、うつる危険性は極めて低くすることができます。
しかし、やはり水虫のかかる頻度が最も高いのは、すでに水虫をもっている家族からうつる「家族間感染」のケースのようです。
水虫に感染している家族と共有しているスリッパや足ふきマットにはほぼ100%白癬菌が付着していると考えていいでしょう。
さらに、足の裏から剥がれ落ちるあかやほこりに混じって白癬菌は家の床にも潜んでいます。
このような経路からの感染を防ぐためには次のような対策が必要です。
水虫の予防対策
〇足で踏むものは共有しない
使用済みのスリッパや足ふきマットには確実に白癬菌が付着します。
水虫がある人との共有はひかえましょう。
〇小まめに掃除・洗濯する
足の裏から出るあかやほこりに混じって白癬菌は家じゅうの床に落ちています。
あかや髪の毛などと一緒にいる白癬菌は1年以上生き続け足に着くと感染の危険がありますが、掃除をすることで取り除くことができます。
また、定期的に風通しを良くして、菌の繁殖を防ぎましょう。
〇小まめに足を洗う
白癬菌が足に付着してから感染するまでには半日以上の時間がかかります。
その前にせっけんで洗うことで感染を防ぐことができます。
ただし、タオルや軽石などを使ったごしごし洗いは、足に傷ができるため控えましょう。
〇家ではなるべく靴下を履かない
裸足ですごすとかえって白癬菌が足裏に付着しやすく感じるかもしれません。
しかし、裸足でいることで高温多湿の環境になることを防ぐことができます。
子どもの水虫が少ないのは、靴や靴下を履く時間が大人よりも少ないためでもあるのです。
〇毎日同じ靴を履かない
靴の中は高温多湿になりやすく、白癬菌にとっては格好の住処です。
同じ靴は連続して履かずに、一度履いたら十分に乾燥させると予防に効果的です。
あまり知られていませんが、実は人間だけではなく動物も白癬菌に感染します。
そして白癬菌に感染している動物と触れ合うことで、人間にうつってしまうことがあります。
この場合、足の裏というよりも、手や顔、頭などに感染し、「体部白癬」と呼ばれかゆみとともに円形の発疹が現れます。
不特定多数の人と接触した猫と触れ合う「猫カフェ」のような施設では、特に注意したほうがいいでしょう。
水虫薬が予防に効果的
また、日本皮膚科学会によると、水虫の塗り薬を予防的に指の間や足の裏全体に塗っておくと水虫になることはないとしています。
水虫薬にはカビの増殖を抑える有効成分が入っているため、予防の上でも効果を発揮するのです。
しかし、現在、予防目的の水虫薬には保険が適用されません。
いくらか高額になりますが、ドラッグストアで市販されている薬も有効な成分が入っているのでこちらを使うのも一つの手段です。
なにより、足が蒸れる時間を極力減らすようにすることが大切です。
靴や靴下を履いている時間をできるだけ短くしたり、通気性をよくするために足の指が離れる5本指ソックスを使ったりすることをお勧めします。
家に帰ったら靴下を脱ぐ。
職場ではサンダルで過ごす。
他にもあるでしょうか。
このように、足を高温多湿にし続けない工夫をして水虫をうつされるのを予防しましょう。